ギリシャリクガメをお迎えするとき、まず立ちはだかるのが「何を準備すればいいのか」という壁ではないでしょうか。用品売り場にはさまざまな商品が並び、本当に必要なものが分かりにくいと感じる方も多いと思います。けれども大切なのは、用品をいくつ揃えるかではなく、リクガメに適した環境を整えてあげることです。
この記事では、14年以上飼育してきた経験をもとに、お迎え前に揃えておきたい用品を「なぜ必要なのか」「どんな考え方で選べばよいのか」という視点から紹介していきます。飼育には人それぞれの考え方があるので、あくまで私自身の一つの考え方として読んでいただければと思います。

ギリシャリクガメ飼育で必要な用品
まずは、揃えておきたい用品を一通り挙げてみます。
- ケージ
- 床材
- 紫外線ライト
- バスキングライト
- 可視光線用ライト
- サーモスタット
- 保温器具
- シェルター
- 餌皿
- 水入れ
- 温湿度計
数は多く見えますが、一つひとつに明確な役割があります。順番に見ていきましょう。
ケージ
ケージはリクガメの生活スペース
ケージは、リクガメが一日の大半を過ごす生活の場です。注意したいのは、リクガメが成長する点です。ベビーサイズだと小さなケージで十分だと考えがちですが、成長を見越したサイズで考えておくほうが安心だと思います。
私のおすすめはトロ舟
私のおすすめは、左官作業などで使われる「トロ舟」です。理由はいくつかあります。
- 価格が安い
- 軽くて扱いやすい
- 掃除がしやすい
- 床面積を確保しやすい
- 通気性が良い
なかでも通気性の良さは大きなメリットです。ケージ内の蒸れは体調面のトラブルにつながりやすいため、空気がこもりにくいことはそれだけで価値があります。
一方で、ガラスケージは見た目は美しいものの、構造上どうしても通気性で不利になりやすく、リクガメ飼育にはあまり向いていないというのが私の考えです。上手に飼育されている方もいるので、一つの見方として受け取っていただければと思います。
サイズについて
サイズは、個人的には最低でも横幅900mm・奥行600mm程度は確保したいところです。リクガメは思っている以上によく歩くので、動き回れる床面積があると安心です。
床材
床材の役割
床材には、歩きやすさを支える・湿度を管理する・汚れを受け止める、といった役割があります。地味ながら、足腰への負担や湿度の調整に関わる重要な役目を担っています。
よく使われる床材
一般的には、ヤシガラ、バークチップ、赤玉土などがよく使われます。それぞれ保湿性や扱いやすさに違いがあるので、自分の飼育スタイルに合うものを選ぶとよいと思います。
私が使用している床材
私自身は、ヤシガラにモミガラをブレンドして使っています。保湿しつつも蒸れすぎない、ちょうどよいバランスが気に入っているためです。モミガラには脱臭効果があると感じていて、ケージ内のにおいが抑えられる点も気に入っています。
個人的に理想だと思う環境
可能であればという前提ですが、屋外で土の上を歩ける環境が理想だと考えています。土の上では自然な行動を取りやすくなると感じるためです。住環境によって難しい場合も多いと思いますが、頭の片隅に置いておくと飼育の幅が広がるかもしれません。
紫外線ライト
なぜ必要なのか
ギリシャリクガメは自然界では太陽光を浴びて暮らしています。室内飼育ではその代わりが必要で、それが紫外線ライトです。紫外線はカルシウムの吸収や甲羅・骨格の形成に深く関わっているとされ、健康な体づくりに欠かせない用品の一つだと考えています。
ソケット選びについて
ソケットは、私は傘付きのものを好んで使っています。理由は次の通りです。
- 紫外線の照射範囲を絞れる
- 浴びる場所と避ける場所を作れる
- 生体が自分で移動して紫外線量を調整できる
「浴びたいときに浴びる、避けたいときは避ける」という選択をリクガメ自身にしてもらえる環境は、私にとってしっくりくる考え方です。
バスキングライト
なぜ必要なのか
バスキングライトは、リクガメが体温を上げるために必要なライトです。変温動物にとって体を温めることは消化活動とも深く関わっているとされ、十分に温まれないと食べた餌をうまく消化できないこともあると言われています。
レンガプレートを活用するのもおすすめ
私はバスキングスポットの下にレンガプレートを敷いています。レンガが熱を蓄えるため、上から照らされる甲羅側だけでなく、温まったレンガからお腹側も温まりやすくなります。自然界で日光に温められた地面や石に近い環境に寄せられると感じています。
可視光線用ライト
必須ではないがあると便利
可視光線用のライトは、ケージ全体を明るくするためのものです。必須ではありませんが、あると環境づくりに役立ちます。
私はアクアリウム用LEDライトを使用
私はアクアリウム用のLEDライトを使っています。本来は水槽用ですが、ケージ全体が明るくなり、生体を観察しやすく、自然な昼夜サイクルも作りやすいと感じています。

サーモスタット
温度管理を自動化する機器
サーモスタットは、設定温度に応じて保温器具のオン・オフを自動で切り替えてくれる機器です。手動の温度管理には限界があるので、これがあると環境を安定させやすくなります。
寒い時期は重要度が高い用品
特に冬場の温度管理では、私にとって重要度の高い用品で、初心者の方にもおすすめしやすいと思います。ただし、爬虫類専用の部屋があったり、エアコンで部屋全体を管理していたりする場合は必須ではありません。飼育環境に合わせて判断するのがよいと思います。
冬場の保温器具
個人的に最もおすすめなのはエアコン
冬場の保温で私が最もおすすめしたいのはエアコンです。部屋全体を一定の温度に保てるため、ケージ内も安定しやすく、理想的だと考えています。
暖突について
私自身は、上部設置型のヒーター「暖突」も使っています。ケージ上部から穏やかに温めてくれるので、補助的な保温として活用しています。
パネルヒーターについて
パネルヒーターを使う飼育者の方もいますが、私自身は使っていません。ここも考え方が分かれる部分なので、ご自身の環境に合うかどうかで選んでいただければと思います。
シェルター
必須ではないがあると便利
シェルターは隠れ場所として機能します。必須ではありませんが、落ち着ける場所として用意する方も多いアイテムです。
私が設置していない理由
私自身は設置していません。紫外線ライトの照射範囲を絞っていることで、浴びる場所と避ける場所が自然にでき、落ち着ける暗がりも確保できているためです。
シェルターに対する考え方
飼育者の中には、お迎え直後から設置するとこもりがちになり、活動量が減る可能性もあると考える方もいます。一方で、あることで安心して落ち着く個体もいます。その個体の性格や飼育環境に応じて判断するのがよいのだと思います。
餌皿
餌皿については、爬虫類専用のものを使う必要はありません。100円ショップで売られているお皿でも十分に役立ちます。リクガメが食べやすく、ひっくり返しにくい形状であれば問題ないと思います。
水入れ
水入れは必要なのか
水入れを置くべきかどうかは、初心者の方が悩みやすいポイントの一つです。
私は設置していない
私自身は設置していません。理由は衛生面です。水がこぼれたり、生体についた水が床材へ移ったりすることで、床材の蒸れ・湿度の上がりすぎ・カビ・ダニなどにつながる可能性があると考えているためです。
水分補給はどうしているのか
水分は餌から摂ってもらっています。小松菜、サンチュ、レタス、トマトなど水分を多く含む野菜を中心に与えることで、自然と補給できていると感じています。
与えている餌によって考え方は変わる
大切なのは、与えている餌で水入れの必要性が変わる点です。野菜や野草が中心なら餌から十分な水分を摂れる場合があります。一方で、人工飼料や乾燥タイプのフードが中心の場合は、水入れの重要性が高くなると考えています。
初心者は設置した方が安心
私が設置していないのは長く飼育してきたうえでの判断です。初心者の方は、まずは設置したうえで、飼育スタイルが固まってきたら調整していくのが安心だと思います。
温湿度計
温湿度計は、ケージ内の環境を感覚ではなく数字で把握するための用品です。「なんとなく暖かい」では適した環境か判断しきれません。温度と湿度を目で確認できるようにしておくと、環境管理がぐっと安定します。
実際に14年以上飼育して感じること
14年以上付き合ってきて感じるのは、用品をそろえること自体が目的ではない、ということです。数あるポイントの中でも、温度と湿度の管理は特に重要だと感じています。具体的には、保温器具による温度の安定と、床材の選択による湿度の調整です。この二つが整っていれば、飼育の土台はしっかりしてくると思います。
そして何より、飼育方法に絶対の正解はないと年々強く実感しています。今回の内容も、私の環境で行き着いた一つの形にすぎません。気候も部屋の環境も個体の性格も人それぞれだからこそ、自分の環境に合った方法を見つけていくことが大切だと思います。長く付き合う生き物だからこそ、飼い主が無理なく続けられる環境を作ることが、結果として生体にとってもよい環境につながっていくのだと感じています。

まとめ
ここまで、ギリシャリクガメの飼育に必要な用品を、それぞれの役割や選び方とともに紹介してきました。用品の種類は多く見えますが、一つひとつに意味があり、必ずしも特別なものを用意する必要はありません。トロ舟や100円ショップのお皿のように、身近なもので十分に役立つ場面も多くあります。
大切なのは、用品をそろえること自体ではなく、ギリシャリクガメに合った環境を整えてあげることです。お迎えの前に、ぜひ自分の環境でできることから少しずつ準備を進めてみてください。長い付き合いになる相棒を迎える時間が、よいものになることを願っています。


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