地中海リクガメを飼い始めると、わりと早い段階でぶつかるのが「床材どうする問題」だと思います。
ネットで調べると、ヤシガラがいい、赤玉土がいい、いや新聞紙で十分だ……と、いろんな意見が出てきます。私も飼い始めた頃はずいぶん迷いましたし、実際にいくつもの床材を試しては「なんか違うな」を繰り返してきました。
この記事では、「おすすめ床材ランキング」のようなものではなく、我が家が試行錯誤の末にヤシガラ+もみ殻のブレンドに落ち着くまでの過程と、その背景にある考え方を書いてみたいと思います。
正解を提示する記事ではありません。あくまで一飼育者の経験談として、床材選びに迷っている方の参考になれば嬉しいです。
本当の理想は「野外飼育」だと思っている

最初に書いておきたいのですが、私自身、リクガメにとって本当に理想的なのは、土の上で暮らせる「野外飼育」だと今でも思っています。
理由はシンプルです。
- 自然そのものに近い環境で過ごせる
- 土に潜ることができる
- 適度な湿度が保たれやすい
- 日光浴も自然にできる
リクガメはもともと土の上で暮らしている生き物です。土に潜ったり、地面を掘ったりする行動は、彼らにとってごく自然なものです。庭やベランダで土の上を歩き回れる環境を用意してあげるのが一番いいに決まっている、と頭では分かっています。
ただ、現実はそう簡単ではありませんでした。
我が家は屋内飼育です。住環境や気候、脱走や外敵のリスクを考えると、おそらく多くの飼育者さんも屋内飼育を選んでいると思います。では屋内で理想に近づけようと土を使うと、
- 床が汚れる
- 砂埃が部屋に舞う
- 交換や管理がとにかく大変
という問題が出てきます。野外飼育を理想だと思いながらも、室内でそれを再現するのは現実的に厳しい。この「理想と現実のギャップ」をどう埋めるかが、我が家の床材選びのスタート地点でした。
これまでに試してきたリクガメの床材
ここからは、実際に使ってみた床材とその感想を書いていきます。あくまで我が家の環境での話なので、同じ床材でも環境によって印象は変わると思います。
ブレンドサンド(ココナッツ殻を砕いたもの)
最初に使ったのは、ココナッツの殻を細かく砕いたタイプの床材でした。
使い始めた頃は「これでいいんじゃないか」と思っていました。見た目も自然ですし、それなりに潜れます。
ただ、使い続けるうちに気になることが出てきました。乾燥してくると、細かな粉塵が発生するんです。リクガメが歩いたり掘ったりするたびに、うっすらと粉が舞う。そして、リクガメの顔は床材のすぐ近くにあります。観察していると、どうもその粉塵を吸い込んでいるように見えました。
実際に健康被害があったわけではありません。ただ、毎日その光景を見ているうちにどうしても気になってしまいました。さらに、舞った粉や細かなカスがケージの外にも出てきて、ケージ周りの床や家具がうっすら汚れていくのも地味にストレスでした。掃除しても掃除しても粉が出てくる。結局、使用をやめることにしました。
赤玉土
次に試したのが赤玉土です。園芸用として手に入りやすく、見た目も自然で、最初の印象は良かったです。土に近い床材という意味では、理想に一歩近づいた感覚がありました。
ただ、赤玉土には「崩れやすい」という性質があります。リクガメが歩き回るうちに粒が崩れて細かくなっていき、乾燥するとやはり粉塵が出ます。しかも赤玉土の粉は赤茶色なので、ケージの外に出ると床や壁際の汚れが目立ちます。気づけば部屋中がうっすら赤茶けてくる、という状態でした。
結局、ブレンドサンドのときと同じ悩みに戻ってきてしまいました。
新聞紙
いっそ割り切ってしまおうと、新聞紙も試しました。
掃除は圧倒的に楽です。汚れたら丸めて捨てるだけ。コストもほぼかかりません。衛生管理という点だけ見れば、かなり優秀だと思います。
でも、決定的に「自然感」がないんですよね。リクガメが潜る行動もできません。新聞紙の上にぽつんといるカメを見ていると、なんとも言えない気持ちになりました。掃除のしやすさと引き換えに、リクガメらしい行動を奪ってしまっている気がして、これも長くは続きませんでした。
現在のリクガメの床材:ヤシガラ+もみ殻のブレンド
そんな試行錯誤を経て、現在の我が家はヤシガラともみ殻をブレンドして使っています。
ヤシガラを使う理由
ヤシガラを選んでいる一番の理由は、リクガメが潜れることです。
潜ったり、顔を床材に埋めたりできると、リクガメは落ち着くように見えます。安心できる場所が確保できているというか、隠れたいときに隠れられる環境があるのは大事だと感じています。
土ほどではないにしても、自然な行動を引き出せる床材だと思っています。
もみ殻を使う理由
もみ殻は、ヤシガラ単体の弱点を補う目的で混ぜています。
- 消臭効果が高い
- 嵩増しになる(ヤシガラだけだとコストがかさむ)
- コストが安いので、定期的な交換に気兼ねがいらない
中でも一番実感しているのは消臭効果です。もみ殻を混ぜるようになってから、ケージ特有のこもったニオイが明らかに気にならなくなりました。フンや尿のニオイをもみ殻が吸着してくれている感覚があり、来客時に「カメ飼ってるの?」と言われてもニオイを指摘されたことはありません。屋内飼育でニオイに悩んでいる方には、これだけでも試す価値があると感じています。
入手先についてですが、もみ殻はホームセンターの園芸コーナーやネット通販で買えるほか、地域によってはコイン精米所やお米の直売所、農家さんから無料〜格安で分けてもらえることもあります。もともと農業資材なので、ペット用品として買うより圧倒的に安く手に入るのもありがたいところです。
特に「交換しやすさ」は、私にとって大きなポイントです。床材は消耗品だと考えているので、惜しみなく交換できる価格帯であることは重要でした。高い床材だと、どうしても「もう少し使えるかな」と交換を先延ばしにしてしまいますから。
私がリクガメの床材選びで重視していること
ここが、この記事で一番書きたかった部分です。
私は床材の「粉塵」をとても気にしています。
こう書くと、「自然界にも砂埃はあるじゃないか」という意見もあると思います。それはその通りで、野生のリクガメは砂埃の舞う環境で普通に暮らしています。
でも私は、自然界と閉鎖的な飼育環境は別物だと考えています。
野外では空気が常に循環しています。砂埃が舞っても、風で流れて拡散していきます。一方で、飼育ケージは限られた空間です。空気が滞留しやすく、舞った粉塵もケージの中に留まりやすい。床材に溜まった汚れや雑菌の濃度も、開放的な自然環境とは違うはずです。
同じ「砂埃」でも、置かれている環境が違えば意味も変わってくる。そう考えるようになってから、私の床材選びの基準は次の3つに絞られました。
- 粉塵が少ないこと
- 頻繁に交換できること(=安価であること)
- 可燃ごみとして処分しやすいこと
ヤシガラ+もみ殻という組み合わせは、この3つをそれなりに満たしてくれています。土のような完璧な自然環境ではないけれど、閉鎖環境という制約の中での落としどころとしては、今のところ納得できる構成です。
空気の流れも飼育環境の一部だと考えている
床材の話から少し広がりますが、もうひとつ我が家で意識していることがあります。それが「空気の流れ」です。
閉鎖環境の問題は、結局のところ「空気が動かないこと」に行き着く気がしています。そこで我が家では、ケージ周辺にPC冷却用の小型ファンを設置して、ゆるやかな空気の流れを作っています。
目的は、
- 空気の滞留防止
- 湿気がこもるのを防ぐ
- カビ対策
です。
強い風を直接当てるわけではなく、あくまで「空気がよどまない程度」のゆるい流れです。自然界の風には到底及びませんが、何もしないよりは閉鎖環境を少しでも自然に近づけられるのではないかと考えています。
床材だけを工夫しても、空気がよどんでいたら湿気やカビ、粉塵の問題は解決しきれません。床材と空気の流れはセットで考えるものだと、今は思っています。
まとめ:リクガメの床材選びは「何を重視するか」を決めること
長くなりましたが、我が家の床材遍歴をまとめると、
- 理想は土の上で暮らせる野外飼育。でも現実的に厳しく、我が家は屋内飼育
- ブレンドサンド、赤玉土は粉塵と部屋の汚れが気になってやめた
- 新聞紙は衛生的だけど、リクガメらしい行動ができない
- 現在はヤシガラ+もみ殻のブレンドに落ち着いた
- 重視しているのは「粉塵の少なさ」「交換のしやすさ」「処分のしやすさ」
- 床材に加えて、小型ファンで空気の流れも作っている
という流れです。
最初に書いた通り、これが正解だと言うつもりはありません。飼育環境も、リクガメの種類も、飼い主が何を気にするかも、家庭によってそれぞれ違います。
ただ、床材選びで迷ったときは、「どの床材が一番いいか」を探すより、「自分は飼育環境の何を重視するのか」を先に決めるほうが、答えにたどり着きやすいんじゃないかと思っています。
私の場合、それが「閉鎖環境での粉塵と衛生」でした。あなたの場合は、湿度の保持かもしれないし、掃除のしやすさかもしれません。
この記事が、ご自身の基準を見つけるきっかけになれば嬉しいです。
リクガメの床材を考えるうえでは、飼育環境全体の見直しもセットだと感じています。関連記事として飼育方法で意識している4つのポイントや飼育の初期費用の記事もどうぞ。生態の基礎情報はWikipedia(外部サイト)が参考になります。


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