リクガメを長生きさせるために、特別なことをしているわけではありません。
私はギリシャリクガメを14年以上飼育しています。ただ、順調だったわけではありません。1匹だけ落としています。
ベビーでした。10月、夜間の冷え込みが始まったタイミングです。温度は見ていたつもりでした。原因は湿度だったのではないかと、今も考えています。
その経験も含めて、今の私が見ているのは4つだけです。
- 温度は一定にせず、勾配を作る
- 紫外線だけでなく、明るさも考える
- 餌は比率より選択肢を固定しない
- 湿度と一緒に空気の流れを考える
そして4つに共通しているのが、ひとつの考え方です。「何℃にするか」ではなく、「リクガメが自分で選べる状態になっているか」を見る。これが14年で行き着いた基準です。
飼育情報は、調べるほど数字が食い違います。数字を追いかけるより、この見方を持つほうが迷いません。

お迎え前後の流れをまとめて知りたい方は「リクガメの飼い方 完全ガイド」を、何年生きるかについては「ギリシャリクガメの寿命はどれくらい?」をご覧ください。
1.温度は一定にせず「勾配」を作る
リクガメは、周囲の環境を利用して体温を調節する変温動物です。自然界では、日なたで体を温め、暑くなれば日陰や物陰へ移動します。
そのため、ケージ全体を同じ温度にするのではなく、暖かい場所と涼しい場所の両方を作ることが大切です。
我が家のケージでは、夏場の暖かい場所が約35℃、涼しい場所が約28℃です。冬場は、それぞれ夏より3~4℃ほど低くなります。
これはすべてのリクガメに共通する推奨温度ではなく、我が家の飼育環境で確認している目安です。重要なのは「ケージを何℃にするか」ではなく、リクガメ自身が過ごす場所を選べる状態になっているかを見ることです。
我が家では、横約1200mm、奥行き約650mm、高さ約700mmの木製自作ケージを使用しています。
床面の一方には床材を敷き、反対側には平らなプレートを設置しています。バスキングライトの熱が当たる場所と、そこから離れて過ごせる場所を分けることで、ケージ内に温度差を作っています。
ケージがある程度広いと、暖かい側と涼しい側の距離を確保しやすくなります。また、障害物を増やしすぎず、両方の場所を無理なく行き来できる動線も意識しています。

我が家の木製自作ケージ。床材側とプレート側を分け、右側にバスキングスポットを設置しています。前面下部には、甲羅アタックに耐えられる厚さ約9mmのガラスを使用しています。
右側にバスキングライトによる暖かい場所があり、反対側には熱源から距離を取れる場所があることが分かります。撮影時期が冬なので暖突を設置していますが、夏は撤去しています。
実際の配置については、リクガメケージのレイアウトを紹介で詳しく紹介しています。使用する器具については、リクガメの保温器具の選び方をご覧ください。
2.紫外線だけでなく、ケージ全体の明るさも考える
室内飼育では紫外線ライトが重要なのは有名な話ですが、私が実際の飼育で変化を感じたのは、紫外線だけではなく「目に見える明るさ」でした。
以前は、必要な紫外線ライトを設置していれば十分だと考えていました。しかし、室内は人間にとって明るく感じても、自然光と比べればかなり暗い環境です。
そこで、60㎝水槽用のアクアリウムLEDライトを追加しました。(写真はLED電球も使用しています)
アクアリウム用LEDを選んだのは、ケージ内を広く照らしやすく、照明から発生する熱が比較的少ないためです。消費電力を抑えながら、バスキングライトだけでは暗くなりやすい場所も照らせます。
LEDを追加してからは、餌食いと活動量が良くなったと感じました。明るい環境では餌をよく探して食べる一方、暗い環境では食いつきが落ちるという違いを何度も経験しています。
もちろん、これは我が家で観察した変化であり、明るさだけが原因だと断定できるものではありません。それでも、紫外線ライトを整えるだけでなく、ケージ全体が十分に明るいかを見ることは、環境づくりの重要な視点だと考えています。
我が家で使用しているUVBライトや、設置距離、交換時期の考え方は、リクガメの紫外線ライトの選び方にまとめています。

3.餌は比率よりも「選択肢を固定しない」
自然界のリクガメは、一年中同じ植物だけを食べているわけではありません。生えている植物や食べられる量は、季節や天候によって変化します。
そのため私は、飼育下でも一つの食材だけに固定しないことを意識しています。
現在の我が家では、人工フードが全体の約8割です。残りの約2割として、小松菜などの葉物野菜、入手できる野草などを組み合わせています。
「多様性を意識する」というと、毎日たくさんの野菜や野草をそろえなければならないように聞こえるかもしれません。
しかし、必ずしも人工フード、野菜、野草を同じ割合にする必要はないと考えています。
我が家の場合は、人工フードを安定した軸にしながら、ほかの食材も食べられる状態を保つという考え方です。人工フードだけ、あるいは特定の野菜だけに完全に固定せず、無理なく用意できる範囲で選択肢を残しています。
さまざまな食材に慣れていれば、いつも与えている餌が手に入らないときにも対応しやすくなります。また、何を好んで食べるのか、食いつきに変化がないかを知ることは、日々の体調観察にもつながります。
現在与えている人工フードや野菜、野草、給餌時間については、ギリシャリクガメのおすすめの餌まとめで詳しく紹介しています。
4.湿度と一緒に「空気の流れ」を考える
私が現在、温度や明るさと同じくらい意識しているのが空気の流れです。
飼育を始めた頃は、温度計の数字ばかり確認し、湿度について十分に考えられていませんでした。
特に冬は、保温器具によってケージ内が乾燥しやすくなります。温度が適切に見えても、環境全体が整っているとは限りません。
一方、湿度を保とうとしてケージを密閉しすぎると、今度は空気がこもりやすくなります。湿度と通気は、どちらか一方だけを高めればよいものではなく、セットで考える必要があります。
我が家の自作ケージは、前面下部に高さ約200mm、厚さ約9mmのガラスを入れ、その上部にガラスの引き戸を設けています。
夏は上部のガラス引き戸を外し、前面を大きく開放して通気性を確保します。冬はガラスを取り付け、暖めた空気が逃げすぎないようにして保温性を高めています。
このように、同じケージでも一年中同じ状態にせず、季節に合わせて開放度を変えています。
また、ケージ内に強い風を当てるのではなく、アイリスオーヤマのサーキュレーターを使って、部屋全体の空気を循環させています。

ケージの中だけを無理に送風するのではなく、飼育部屋全体に緩やかな空気の流れを作る考え方です。自然界の風を完全に再現することはできませんが、ケージ周辺の空気が長時間よどまないように意識しています。
私が温度だけを見ていた頃の反省や、湿度と通気を一緒に考える理由は、リクガメ飼育でやりがちな失敗|温度だけを気にしてしまうことで詳しく書いています。
冒頭に書いた、ベビーを落とした話に戻ります。
あれは10月でした。夜間の冷え込みが始まった時期です。温度は気にしていましたし、保温器具も入れていました。それでも落としました。
断定はできませんが、原因は湿度だったのではないかと考えています。保温器具を入れれば、ケージは乾きます。温度計の数字が正常でも、環境全体が整っているとは限らない。そのことに、当時の私は気づいていませんでした。
この4つ目を最後に置いているのは、私がいちばん遅く気づいた視点だからです。
飼育環境を見直すときのチェックポイント
飼育環境に迷ったときは、次の点を確認しています。
- 暖かい場所と涼しい場所を自由に移動できるか
- UVBだけでなく、ケージ全体の明るさを確保できているか
- 餌が一種類だけに固定されていないか
- 湿度を保ちながら空気も入れ替わっているか
- 季節に合わせて器具やケージの開放度を調整しているか
- 数字だけでなく、食欲や活動量も観察しているか
すべてを一度に変える必要はありません。リクガメの様子を観察しながら、一つずつ調整していくことが大切です。
温度や湿度の数値が目安の範囲に入っていても、いつも同じ場所から動かない、餌を食べない、活動量が落ちているといった変化があれば、環境全体を見直す必要があります。
反対に、数字だけを追いかけて器具の設定を頻繁に変えると、環境が安定しなくなることもあります。数値と実際の行動の両方を見ながら判断するようにしています。
まとめ
リクガメを長生きさせるために、私が見ているのは4つだけです。
- 温度は勾配を作る。暖かい場所と涼しい場所の両方を用意する
- 紫外線だけでなく明るさも。紫外線ライトは明るさを担当していない
- 餌の選択肢を固定しない。比率より多様性
- 湿度と空気の流れをセットで。保温すると乾く。密閉すると空気がこもる
そして全部に共通するのが、この一点です。
「何℃にするか」ではなく、「リクガメが自分で選べる状態になっているか」。
飼育情報は、サイトによって数字が違います。迷うのは当然です。ただ、選べる状態を作るという原則は、どの情報とも矛盾しません。迷ったときは、ここに戻ってきてください。
14年で1匹落としました。その反省が、4つ目の視点になっています。完璧にはできませんが、見る場所を決めておくことはできます。




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