🦎 この記事の結論(先に要点だけ)
温度勾配と紫外線(UVB)さえ押さえれば、丈夫で付き合いやすい種です。温度は数字より「どこで過ごしているか」を見て判断しています。
餌はコオロギが主食。ベビーは2日に1回、アダルトは3日に1回くらい。カルシウムは毎回まぶします。
いちばん怖いのは水切れです。水入れは毎日、あふれるくらいたっぷり入れています。
レイアウトは崩れない流木で。以前、岩組みが崩れて1匹亡くしてから、流木中心に切り替えました。
ゼノガマは流通量が少なく、日本語でまとまった飼育情報がほとんどありません。私もお迎えする前は、ネット上の断片的な情報を読み漁っていました。
我が家では2022年からゼノガマを飼育していて、今年で4年になります。現在はアダルトのオス2匹・メス1匹と、ヤング2匹。繁殖にも取り組んでいます。この記事では、お迎えから餌、健康管理、季節ごとの管理まで、我が家で実際にやっていることを1本にまとめました。

ゼノガマはどんなトカゲ?
- 学名:Xenagama taylori
- 分布:エチオピア東部〜ソマリア北西部の乾燥地帯
- サイズ:全長6〜8cmほどの小型種
- 寿命:およそ10年とされています(我が家はまだ4年目なので、自分では確かめていません)
- 食性:昆虫中心の雑食
- 特徴:危険を感じると巣穴に逃げ込み、トゲのある丸い尻尾でフタをする(英名 Dwarf Shield Tailed Agama の由来)
性格は比較的おとなしく、活動時間にはよく動きます。我が家の個体は、餌の時間になるとケージの前面に出てきて待つようになりました。名前の由来にもなっている「巣穴に逃げ込んで尻尾でフタをする」行動は飼育下でも見られることがあり、この種ならではの面白さだと感じています。
見た目こそずんぐりした体型ですが、実際に飼ってみると意外なほどよく動き回ります。ケージの中をちょこちょこ歩いたり、高いところに登って日光浴をしたりと、見ていて飽きません。
どんな人に向いている?飼育の難易度は?
- 昼行性の小型のトカゲを飼いたい人
- 大きくなりすぎない小型のアガマを飼いたい人
- あまり見かけない珍しい種類を飼ってみたい人
- 行動の観察そのものを楽しみたい人
ゼノガマは昼行性なので、日中にバスキングをしたり歩き回ったりする姿を見られます。夜行性のヤモリ類とは違い、人が起きている時間帯に活動してくれるのは大きな魅力です。
難易度については、小型で思った以上に丈夫な種なので、爬虫類の飼育がはじめてでも十分に挑戦できると感じています。ただし乾燥した暖かい地域の出身なので、温度勾配のある環境づくりと紫外線(UVB)の用意だけは省略しないことが大切です。この2つさえ押さえておけば、神経質になりすぎなくても付き合える種です。一方で、流通量が少ないぶん入手には少し手間がかかります。
お迎えの方法と価格
我が家の最初の1匹は、爬虫類イベント「ぶりくら」でお迎えしたCB(国内繁殖)個体でした。ゼノガマは流通量が多くないので、見かけたショップでそのまま迎えるほか、爬虫類イベント(即売会)や専門店の通販が現実的な出会いの場になります。状態のよい個体に出会えたら、その縁は大切にしてください。イベントが初めての方は、はじめての爬虫類イベントの回り方もあわせてどうぞ。
価格は4万円前後が目安です。WC(野生個体)かCBか、個体の状態やサイズによっても上下します。安さだけで選ぶよりも、しっかり餌を食べている個体を選ぶ方が、結果的に安心して飼い始められます。
健康な個体の選び方

お迎えのとき私が見ているのは、目がしっかり開いていてくぼんでいないか、体型、その場で動きに元気があるか、そして可能なら餌を食べているかどうかです。ゼノガマはもともとずんぐりむっくりした体つきが普通なので、痩せている個体よりも、少しぽっちゃりしているくらいがちょうどいいです。特に「餌を食べている個体か」は立ち上げの苦労を大きく左右するので、確認できるなら必ず確認してください。
設備は先に立ち上げておく
生体を迎えてから慌てて設備を揃えると、最初の数日を不安定な環境で過ごさせてしまいます。ケージ・紫外線ライト・バスキングライト・床材は先に立ち上げて、温度が安定しているのを確かめてから迎えるのが理想です。寿命はおよそ10年とされる種なので、10年先まで付き合う前提でお迎えを考えてもらえるとうれしいです。
飼育環境の要点
設備の写真や配置はゼノガマの飼育環境の記事で詳しく紹介しているので、ここでは要点だけまとめます。
ケージは高さより床面積
使っているのは、パンテオンの600×450です。お迎え当初はもう少しコンパクトなケージでしたが、活発に動く様子を見ているうちに「もっと広い方がのびのびできそうだ」と感じて、今のサイズに変えました。横に動けるスペースが増えて、行動の幅も広がったと感じています。広いケージは温度差のある空間を作りやすく、生体が自分で居場所を選べるのも利点です。
紫外線ライトとバスキングライト
紫外線ライトは、エキゾテラのコンパクトトップ60に、レプタイルUVB150(26W)を2本つけています。昼行性のゼノガマにとって省略できない設備だと考えていて、お迎えの最初から用意しました。
バスキングライトは、サングロー タイトビームの50W・75W・150Wを季節ごとに使い分け、ビバリア デイハロゲン22Wも時期によって使っています。これから1つだけ買うなら、1年を通して使いやすいのは75Wだと思っています。
温度は「数字」より「居場所」で見る
正直に書くと、私は温湿度計をケージに常設していません。測るのは飼育の立ち上げ時や季節の変わり目くらいで、普段は生体がどこで過ごしているかを見て調整しています。涼しい側にばかりいるなら暑すぎるのかもしれない、バスキングに来る回数が減ったら何か変化があったのかもしれない、という具合です。
そのかわり、ケージ全体を高温にするのではなく、熱い場所と涼しい場所の両方をつくる「温度勾配」だけは必ず意識しています。生体が自分で快適な場所を選べる状態にしておけば、数字を細かく追いかけなくても大きく外すことはないと感じています。
床材は砂埃との付き合い方で変えてきた
床材は何度か変えています。砂埃が舞うのが気になったことが主な理由で、一度は掃除のしやすい人工芝に切り替えました。最近はアクアリウム用の砂に変更しています。比重が重く、砂埃が舞いにくいものを選んで使っています。
レイアウトは崩れない流木で組む
ここは失敗から学んだ部分です。以前は岩を組んだ凝ったレイアウトにしていた時期がありましたが、ある時、岩が崩れたのか、ゼノガマが挟まれた状態で亡くなってしまいました。小さく力の弱いトカゲなので、わずかなズレでも逃げられなかったのだと思います。
それ以来、崩れるリスクのある岩組みはやめて、流木を組んだレイアウトにしています。流木の隙間がそのまま隠れ場所になるので、今は隠れられる場所が無数にある状態です。ゼノガマは隠れ家が少ないと落ち着かないので、多めに用意しておくのがおすすめです。潜って掘り返すこともあるので、下から掘られても崩れない組み方を意識しています。登れる高さがあると、バスキングライトとの距離を生体が自分で調整できるようにもなります。

主食はコオロギ、ヤングまではデュビアも
主食はコオロギで、ヤングまではデュビアも使っています。餌の大きさは、少し大きめでも問題ないと感じています。アガマはしっかり咀嚼して食べるので、口に入りきらないサイズは避けつつも、ぴったりのサイズにこだわりすぎなくても食べてくれます。
与える頻度
| 時期 | 頻度 |
|---|---|
| ベビー | 2日に1回 |
| アダルト | 3日に1回くらい |
量は食欲や体型を見ながら調整しています。小型なので肥満にも痩せすぎにもなりやすい印象があり、ふっくらしすぎてきたら少し減らし、痩せてきたら少し増やす、という具合です。普段はケージ内に餌をばらまいて与えています。
コオロギにも栄養を(ガットローディング)
昆虫を主食にする場合、その昆虫自身が何を食べているかも地味に大事だと思っています。栄養の少ない状態のコオロギをそのまま与えるより、栄養価の高いフードを食べさせたコオロギを与える方が、ゼノガマに届く栄養も良くなるからです。我が家では、昆虫用の栄養価の高いフードをコオロギに食べさせています。
葉物野菜も食べる
昆虫だけでなく、葉物野菜も食べてくれます。うちでは小松菜、豆苗、キャベツの外葉、レタス、サンチュなどを与えることがあります。一種類に偏らせず、いくつかをローテーションしています。あくまで主食の昆虫を補う位置づけです。
カルシウムは毎回、ビタミン剤は使っていない
昆虫にはカルシウムパウダーを毎回まぶしています(ダスティング)。使っているのは「GEX エキゾテラ カルシウム 90g」です。紫外線(UVB)はカルシウムの働きを助けるので、UVBライトとカルシウム添加はセットで考えています。ビタミン剤は使っていません。
人工飼料は食いが悪く、乾燥コオロギに
フトアゴヒゲトカゲ用の人工飼料を与えてみたことがありますが、食いはあまり良くありませんでした。今は人工飼料の代わりに、乾燥コオロギを使っています。
食いつきが悪いときは、まず温度
環境さえ整っていれば、基本的にはよく食べてくれる種だと感じています。食いつきが悪いときは、まず温度を見直します。体が温まっていないと活動も食欲も落ちやすいので、バスキングや全体の温度が下がっていないかを確認しています。
水は毎日、あふれるくらい
飼育でいちばん気をつけているのが水切れです。体が小さいぶん水分不足のダメージが出やすく、ときに命取りにもなりかねないと感じています。乾燥地帯の出身ですが、水と無縁というわけではありません。
水入れからよく水を飲むので、我が家では毎日、水入れからあふれるくらいたっぷり入れています。そのときにケージの湿度が一時的に上がるようにもしていて、「普段は乾燥、給水のときだけ一時的に湿度が上がる」というメリハリを意識しています。
毎日の健康チェック

小型のトカゲは体の変化が分かりにくいので、特別なことよりも「毎日よく見ること」が健康管理の基本だと思っています。いつもの様子を知っておくほど、ちょっとした不調にも早く気づけます。
いちばん見ているのは「目」
毎日の世話のなかで、私がとくに見ているのは目です。目がしっかり開いていて、いきいきとした覇気があるか。元気な個体は目に張りがあり、体調を崩すと目から元気が抜けたような印象になることが多いです。あわせて、体型が急に変わっていないか、食欲はあるか、糞の状態は普段どおりか、動きに元気があるかも見ています。
バスキングに来る頻度
昼行性のゼノガマにとって、バスキングは体温を上げて消化を進めるための大切な行動です。そのため、日中にバスキングスポットへしっかり来ているかも観察しています。来る頻度が減ったときは、体調や環境に何か変化がないかを疑うサインにしています。
よくあるトラブルと動物病院
気をつけたいものとして、脱皮がうまくいかない(脱皮不全)、食欲が落ちる、太りすぎ・痩せすぎ、といったあたりがあります。カルシウムや紫外線(UVB)が足りないと骨に関わる不調につながることがあると言われているので、カルシウム添加とUVBはセットで意識しています。
正直に書くと、我が家ではゼノガマを動物病院に連れて行ったことはまだありません。なので病院選びについて書けることはありませんが、明らかに様子がおかしい、食べない日が続く、動きが極端に鈍いといったときは、自己判断で粘らず、爬虫類を診てもらえる動物病院に相談するのが安心だと思います。
同居・脱皮・ハンドリング
アダルトは同居させている
我が家では、アダルトを同じケージで同居させています。ただ、正直なところ同居はおすすめはしません。十分に巣穴にできるレイアウトであれば飼育は可能、というのが私の感覚です。
同居していると、尻尾の細い部分は欠けてしまいます。なくなるのは尻尾の太い部分ではなく、その先の細く長くなっている部分です。これ自体で健康に影響が出たことはありませんが、見た目は変わるので、そこは知ったうえで判断してください。
脱皮と掘る行動
脱皮は基本的に自然に進みます。ただ小型なので、指先や尻尾の先などに古い皮が残ってしまうことがあります。残った皮が締めつけると良くないので、気になるときは様子を見つつ、必要なら湿度を一時的に上げてサポートしています。
ゼノガマはもともと巣穴を掘って暮らす種で、床の縁を掘るような仕草をよく見せます。掘る・こすりつけるといった動きは自然なものなので、床材は、そうした仕草をしても体を傷つけにくいものを選ぶことが大事だと思っています。
ハンドリングはしない
私自身は、ハンドリング(手に乗せて触れ合うこと)は基本的に全くしていません。小型で警戒心のある種なので、無理に持ち上げるより、世話のときにそっと慣れてもらう方が合っていると思っています。
人に慣れてもらいたい場合、いちばんの近道はピンセットでの給餌だと感じています。普段はばらまきが中心ですが、ときどきピンセットから直接与えることで、「人は怖くない、むしろ餌をくれる存在」と覚えてもらうようにしています。
冬と季節ごとの管理
ゼノガマの生息域は、夜間にぐっと気温が下がる地域です。我が家でもそれに合わせて、あまり加温しすぎないようにしています。リクガメに使っているような、上部から広い範囲へ放射熱を届ける保温器具(暖突など)はあえて使わず、夜は照明を落として、空間の温度が低いまま過ごさせています。日中にバスキングでしっかり体を温められる環境さえ用意できていれば、夜の冷え込みを過度に怖がらなくても大丈夫だというのが、我が家のやり方です。
ただ、日本の冬は地域によってかなり冷え込むので、冬の夜だけは下がりすぎないように気をつけています。必要に応じて部屋自体の温度を保ったり、パネルヒーターで補助したりして、寒い日の様子を見ながら調整しています。夏は逆に、バスキングライトを50Wに落として熱量を下げています。
休日で時間がある日には、別のケージに移してバルコニーで日光浴をさせることもあります。天気の良い日に外で日光浴をしている姿は、体の色つやも普段と違って見えて、本物の太陽光にはやはり敵わないと感じる瞬間です。
繁殖について
ゼノガマの飼育で、私が特に力を入れている部分です。国内では繁殖例の情報がほとんどないため、我が家での記録が誰かの参考になればと思い、雌雄判別から産卵、ベビーの立ち上げまでを記事にしています。繁殖はうまくいくことばかりではなく、有精卵が孵化に至らなかった年もありました。そうした失敗も含めて公開しています。
▶ 手順別:①雌雄判別/②ペアリングと交尾/③産卵と卵の管理/④ベビーの育て方
▶ 記録:ゼノガマの繁殖記録
まとめ
- 温度勾配と紫外線(UVB)さえ押さえれば、丈夫で付き合いやすい種
- 温度は温湿度計の数字より、生体がどこで過ごしているかで判断している
- 餌はコオロギが主食。ベビーは2日に1回、アダルトは3日に1回くらい。カルシウムは毎回
- 水切れがいちばん怖い。毎日あふれるくらい入れる
- レイアウトは崩れない流木で。岩組みで1匹亡くしている
- 同居はおすすめしないが、巣穴にできるレイアウトなら可能。尻尾の先は欠ける
飼い始めて4年、情報こそ少ないものの、基本を押さえれば思った以上に付き合いやすい種だというのが実感です。昼行性でよく動き、小さな体で高いところに登ったり、尻尾で巣穴にフタをしたりと、見ていて飽きることがありません。この記事が、日本語でゼノガマを調べている方の最初の1本になればうれしいです。
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