ゼノガマ(テイラーカワリアガマ)の繁殖記録

ゼノガマ

はじめに

ゼノガマ(テイラーカワリアガマ/Xenagama taylori)の繁殖について、私自身の経験を記録としてまとめてみます。

うちのゼノガマのオス
うちのゼノガマのオス

ここ3年ほど、毎年なんとか10匹以上のベビーをとることができていて、今年もすでに7個の卵を産んでくれました。とはいえ、正直なところ自分ではまだ満足できるレベルには程遠く、毎年が手探りの連続です。産卵のタイミングひとつとっても、いまだに読み切れていません。

ですので、この記事は「こうすれば必ず増える」という完成された手順書ではありません。あくまで、今の私がたどり着いている途中経過のメモであり、これからも自分の経験が増えるたびに更新していくつもりの記録です。

それでも、うまくいったやり方だけでなく、卵をダメにしてしまった失敗も含めて正直に書いておくことで、同じように手探りしている方と何かを共有できればと思っています。

今のところたどり着いているコツは「何もしないこと」

最初に、今の時点での私なりの結論を書きます。

繁殖でいちばん大切なのは、何もしないことではないか、と感じています。

拍子抜けされるかもしれませんが、これは本心です。繁殖を成功させるための特別なテクニックを足すよりも、基本の飼育環境をしっかり整え、あとは余計な手を加えないこと。これが今のところ私がたどり着いている答えです。もっと良いやり方があるのかもしれませんが、少なくとも今の私には、これがいちばんしっくりきています。

具体的には、次のことを徹底しています。

  • 生息地に近い温度・湿度の環境を、年間を通して整える
  • オスとメスを同じケージで一緒に飼う
  • 餌やり以外は極力ケージに干渉せず、ハンドリングもしない

人間が手をかけすぎないことが、結果的にいちばん繁殖につながっている。そう感じています。

ゼノガマの飼育環境|土台になっているのは温度と湿度

繁殖の成否は、日々の飼育環境にかなり左右されると感じています。なかでも意識しているのは温度と湿度です。

ホットスポットでバスキング中のゼノガマ
ホットスポットでバスキング中のゼノガマ

昼は高温、夜は下げる

ゼノガマはアフリカ北東部の乾燥地帯に生息する小型のアガマです。日中はしっかり気温が上がり、夜は冷え込む。この昼夜の寒暖差を、私はケージ内でも意識して再現しています。

昼間はホットスポットを設けてしっかり高温に、夜間は加温を弱めて温度を下げる。砂漠の一日を小さなケージの中に作るイメージです。

クーリングはしていない

繁殖というと、冬にあえて温度を下げて季節変化を感じさせる「クーリング」を思い浮かべる方も多いと思います。

ですが、私は特別なクーリングはしていません。その代わり、ある程度は日本の気温の移り変わりに近い環境で飼育しています。日本にも四季があり、室温も季節によって自然に変動します。その自然な温度の揺らぎが、結果的に季節を感じさせる役割を果たしているのかもしれません。

無理に人工的な低温期間を設けなくても、今のところ毎年なんとか繁殖してくれています。

オスとメスは同居、交尾は確認していない

うちではオスとメスを同じケージで飼育しています。ただし、メスがオスからの求愛から逃げられるように、十分な広さを確保したケージで飼うようにしています。

正直なところ、私は交尾の瞬間を確認したことはほとんどありません。それでも毎年抱卵してくれるので、同居させて自然に任せるだけで十分だと考えています。ここでも「何もしない」が効いている部分です。

ハンドリングなどのストレスを与えず、餌やりという最低限の関わりにとどめる。それが落ち着いて繁殖できる環境につながっているのではないか、と今は考えています。

ゼノガマの産卵の兆候|メスの食欲が落ちたら近い

抱卵したメスには、産卵が近づくとはっきりしたサインが出ます。

それは餌の食いが悪くなることです。

それまで普通に食べていたメスが、急に餌に興味を示さなくなる。お腹に卵を抱えて食欲が落ちてきたら、産卵が近いと判断しています。ここからが、いよいよ繁殖の山場です。

産卵させる|タイミングと産卵床

実は、ここがいちばん難しく、私自身もいまだに試行錯誤している部分です。

問題は「いつ産卵するのか」を読むことです。

満月のタイミングを意識する

これは私の経験則で、確証があるわけではありません。ですが、うちのゼノガマは満月の日の翌朝に産卵することが多い気がしています。

そこで私は暦を確認し、満月の3日前くらいには、メスを産卵用の別ケージに移すようにしています。早めに移して、落ち着いて過ごしてもらう時間を作るイメージです。

産卵床は湿らせた土を10cm

産卵用ケージには、湿らせた土を10cmほど敷いています。

産卵床の土の中に産み落とされたゼノガマの卵
産卵床の土の中に産み落とされた卵。今年はすでに7個産んでくれました

使っているのは、家庭菜園で使っていた土です。特別な床材ではありません。ポイントは、ゼノガマが穴を掘っても崩れないように、全体をしっかり湿らせておくこと。乾いた土では掘った穴がすぐ崩れてしまい、産卵場所として使ってもらえません。

巣穴を掘って産卵する習性があるので、安心して掘れる深さと湿り気を用意してあげることが大切です。

あわせて、産卵用ケージにもバスキングできる場所と、隠れ家になるものを用意しています。慣れない別ケージでもメスが落ち着けるように、最低限の環境は整えておくようにしています。

満月の夜に湿度を上げる

満月の日の夜には、さらに多めに霧吹きをして、ケージ内の湿度を一段引き上げます。

それでも産まないときは、温度を少し上げるなど、環境に変化を加えて産卵を促します。「いつもと違う」という刺激を与えるイメージです。

このあたりの読みは本当に難しく、今も毎年手探りしています。だからこそ、同じように悩んでいる方の参考になればと思います。

ゼノガマの卵の管理|掘り出して28〜32度でキープ

無事に産卵が済んだら、土に埋まった卵を慎重に掘り出します。

転卵させないこと

掘り出した卵は、バーミキュライトか、市販の専用孵化材(ハッチライトなど)で管理します。

このとき絶対に守っているのが、卵の上下を変えない(転卵させない)ことです。爬虫類の卵は、産み落とされた向きが決まっています。上下が入れ替わると中の胚がダメになってしまうので、掘り出すときも移すときも、向きを保ったまま扱います。

温度は28〜32度

孵化に向けた管理温度は、28度から32度程度をキープするイメージです。

寒い時期は、室温任せでは温度が足りません。私はネットで1.5万円程度で売っている冷温庫を使って温度管理をしています。冷温庫は温度を一定に保ちやすく、孵化器代わりとして非常に重宝しています。

孵化まで45〜50日

この管理で、だいたい45〜50日ほどで孵化します。

待っている間は気が気ではありませんが、ここはぐっと我慢の時期です(詳しくは後述の失敗談で)。

ベビーの管理|初うんちまで餌は与えない

無事に孵化したら、いよいよベビーの立ち上げです。

孵化したばかりのゼノガマのベビー。指先に乗るサイズです
孵化したばかりのゼノガマのベビー。指先に乗るサイズです

孵化後2〜3日は餌を与えない

孵化したばかりのベビーには、すぐに餌を与えません。孵化後2〜3日は餌を与えず、ベビーが最初のうんち(初うんち)をするのを待ちます。

これは、お腹に残ったヨークサック(栄養)を使い切らせるためです。初うんちが、消化器官が動き出して餌を受け入れる準備ができたサインになります。

最初はSSサイズのデュビアから

初うんちを確認したら、SSサイズのデュビアを与え始めます。

ベビーたちの飼育ケージ。バスキングスポットと水場、餌皿を用意しています
ベビーたちの飼育ケージ。バスキングスポットと水場、餌皿を用意しています

そしてピンセットから食べてくれるようになったら、餌の幅を広げていきます。フトアゴ用の小さい人工飼料を与えたり、小松菜などの葉物野菜を細かく刻んで与えたりしています。

少しずつ食べられるものを増やしながら、しっかり立ち上げていきます。

失敗談|やらかしから学んだこと

① 産卵タイミングを見逃して「ポロリ産卵」

産卵のタイミングを読み切れず、別ケージに移す前にメインケージの中で産卵してしまったことがあります。

うちのメインケージは床材に人工芝を使っているのですが、産み落とされた卵が人工芝の上をコロコロと転がってしまい、向きが変わってダメになってしまいました。

産卵が近いサイン(食欲低下)を見たら、早めに産卵床のあるケージへ移すこと。これを痛感した失敗です。

② キャンドリングのしすぎで死籠り

卵の中が気になって、キャンドリング(光を当てて中を観察すること)をしすぎてしまったことがあります。

それが原因だったのかは断定できませんが、結果として死籠り(孵化直前で死んでしまうこと)を経験しました。卵を頻繁に動かしたり光を当てたりすることが、胚に負担をかけてしまったのではないかと反省しています。

ここで大事なお伝えです。キャンドリングは、しなくて大丈夫です。

有精卵であれば、しばらくすると自然と卵が膨らんでくるので、それで順調かどうかは判断できます。わざわざ光を当てて確認する必要はありません。気持ちはよく分かりますが、ここでも「何もしない」が正解でした。

まとめ

現時点で私が意識しているのは、結局のところ次のようなことです。

  • 生息地に近い温度・湿度を整え、昼夜の寒暖差をつくる
  • クーリングはせず、日本の自然な気温変化に任せる
  • オスとメスを同居させ、ハンドリングなど余計な干渉をしない
  • メスの食欲が落ちたら産卵が近いサイン
  • 暦(満月)を意識し、湿らせた土を10cm敷いた産卵床に早めに移す
  • 卵は転卵させず、28〜32度で45〜50日管理する
  • ベビーは初うんちを待ってからSSデュビアで立ち上げる
  • キャンドリングはしない。有精卵は自然に膨らんでくる

特別な技術ではなく、基本を整えて見守ること。これが今のところ私が続けているやり方です。

ただ、ここに書いたのはあくまで現時点での私のやり方にすぎません。産卵タイミングの読みをはじめ、まだまだ満足できるレベルには届いておらず、毎年が試行錯誤の途中です。これからやり方が変わっていくこともあると思いますし、その時はまたこの記録を更新していくつもりです。

もし同じように繁殖に挑戦している方がいれば、ぜひ経験を共有していただけたら嬉しいです。お互いの記録を持ち寄りながら、少しずつ精度を上げていけたらと思っています。

ゼノガマ以外の飼育の話として、爬虫類飼育の魅力をまとめた記事飼育の初期費用の記事もあわせてどうぞ。アガマ科の基礎情報はWikipedia(外部サイト)も参考になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました