🐢 この記事の結論(先に要点だけ)
まず安心してください:飼育下のリクガメの嘴は伸びます。私は14年間一度も餌を刻んでいませんが、それでも我が家の個体は徐々に伸びてきています。
ただし例外:一部分だけ異常に伸びている場合は別です。代謝性骨疾患(MBD)の可能性があるとされているので、様子見せず動物病院へ。
ペースは落とせます:獣医に言われたのは2つ。餌を刻まないことと、小松菜やチンゲン菜の茎も一緒に与えることです。
伸びてしまったら:自分で切らないでください。私は動物病院で処置してもらっています。
刻まずに与えていても、嘴は伸びます
リクガメの嘴が伸びてきたことに気づくと、まず自分を責めると思います。
調べると「柔らかい葉物ばかり与えていると伸びる」と書かれています。読めば読むほど、自分の与え方が悪かったのだという結論になります。
ですので、先にこれを書いておきます。
私は14年間、リクガメの餌を一度も刻んだことがありません。葉物は葉のまま、キャベツなら丸ごと。それでも我が家の個体の嘴は、徐々に伸びてきています。
つまり、刻んでいたから伸びた、という単純な話ではありません。飼育下では、程度の差はあれ起きることです。野生のリクガメは、硬い草や乾いた植物を年中噛みちぎって暮らしています。飼育下でそこまでの摩耗を再現するのは、そもそも難しい。
あなたの飼い方だけが原因ではありません。まずそこを外してから、読み進めてください。
ただし「全体が徐々に」と「一部だけ異常に」は別です
ここだけは先に確認してください。嘴の伸び方には2種類あります。
| 伸び方 | 考え方 |
|---|---|
| 全体が、少しずつ伸びる | 飼育下では起こりうること。この記事で扱うのはこちら |
| 一部分だけ、異常に伸びる/変形している | 代謝性骨疾患(MBD)の可能性があるとされています |
MBDの主な原因はカルシウム不足と紫外線不足だといわれています。嘴だけでなく、甲羅の変形や、四肢の力の入り方にも症状が出ることがあります。
心当たりがあるなら、様子を見ずに動物病院へ行ってください。この記事の予防法で解決する話ではありません。
紫外線ライトの選び方はリクガメに必要なライトは3種類です、カルシウムの与え方はリクガメのカルシウム・サプリの選び方にまとめています。嘴が伸びる前に、この2つが足りているかを確認してください。
放っておくと、どうなるのか
「今すぐ何とかしないといけないのか」——ここがいちばん知りたいところだと思います。
結論から言うと、数日で急変するようなものではありません。嘴は少しずつ伸びるので、昨日まで普通に食べていた個体が、今日いきなり食べられなくなることはまずありません。
ですから、今夜のうちに切らなければと焦る必要はありません。むしろ焦って自分で切るほうが危険です。
ただし、放置していい話でもありません。伸びすぎると、こうなります。
- うまく噛みちぎれなくなる(噛み合わせがずれるため)
- 食べるのに時間がかかり、食べる量が落ちる
- その状態が続けば、体調そのものに響く
つまり問題は嘴そのものではなく、その先にある「食べられなくなること」です。
だから私が見ているのは、嘴の長さではなく食べ方です。餌に対して何度も噛み直している、うまく削り取れていない、時間がかかるようになった。そういう変化が出たら、見た目に関係なく相談します。
逆に、多少伸びていても普段どおり食べているなら、予防策を強化しながら様子を見るという判断で良いと考えています。
伸びるペースは落とせます|獣医に言われた2つのこと
伸びを完全に止めることはできません。ですがペースを落とすことはできます。
我が家のリクガメを診てもらったとき、獣医から言われたのが次の2つでした。
① 餌を刻まない
「餌は刻まない方が良い」——はっきりそう言われました。
ネットで調べると、ここは情報が割れています。「一口大にカットして与える」「大きいと喉や腸に詰まる危険がある」と書かれている一方で、「柔らかい餌やみじん切りばかりだと嘴が伸びる」とも書かれている。どちらに従えばいいのか分かりません。
実際、インスタで給餌の写真を見ると、刻んでいる方のほうが多いように見えます。
私の答えはこうです。野生では、誰も刻んでくれません。
リクガメは嘴で噛みちぎってから飲み込みます。置いたサイズと、飲み込むサイズは別です。大きいまま置いても、自分で削って適量ずつ食べていく。だから詰まりません。14年間、一度も詰まらせたことはありません。
そしてその「噛みちぎる」動作そのものが、嘴を使う機会になります。刻んで与えるということは、その機会を毎回奪っているということです。
② 茎も一緒に与える
これが一番、今日から変えられる部分だと思います。
小松菜やチンゲン菜を与えるとき、葉だけを取り分けていませんか。獣医からは、茎も一緒に与えることで嘴の伸びが抑制されると言われました。
葉はやわらかく、ほとんど抵抗なく食べられます。硬さがあるのは茎のほうです。食べやすさを考えて葉だけにしていると、嘴を使う場面がなくなります。
「固い餌を与えましょう」とだけ書かれた記事は多いのですが、具体的に何を指すのかが分かりません。茎なら、いつも買っている野菜の中にあります。
餌全体の考え方は地中海リクガメの餌は何をあげればいい?に書いています。
③ レンガとカトルボーンを置く
餌以外では、ケージ内にレンガとカトルボーン(イカの甲)を置いています。
我が家のリクガメは、実際に齧っています。置いてあるだけで終わっている、ということはありません。
カトルボーンはカルシウム補給として紹介されることが多いのですが、齧るという動作そのものにも意味があります。硬いものに嘴を当てる機会が、日常の中に増えるからです。
レンガのほうは、齧るだけでなく歩くときに爪が削れる効果もあります。嘴と爪は、どちらも飼育下で伸びやすい部分です。ひとつ置くだけで両方に効くので、我が家では常設しています。
伸びてしまったら、自分で切らないでください
すでにかなり伸びている場合の話です。
人間用の爪切りなどで切るのは避けてください。根元から割れてしまうことがありますし、嘴には神経が通っているため、痛みを伴う可能性があります。一度割れると、元に戻せません。
私は動物病院で処置してもらっています。慣れた獣医であれば、適切な長さまで削ってくれます。リクガメを診られる病院は多くないので、普段から調べておいてください。嘴に限らず、いざというときに探し始めると間に合いません。
どこまでが「様子見でいい範囲」かは、正直に言うと線引きが難しいところです。私の目安は、食べ方が変わったかどうかです。うまく噛みちぎれていない、食べるのに時間がかかるようになった——そう感じたら、伸びの見た目に関係なく相談しています。
まとめ
- 飼育下では嘴は伸びる。14年刻まずに与えてきた我が家の個体も伸びています
- 一部だけ異常に伸びている場合はMBDの可能性。様子見せず病院へ
- 予防① 餌を刻まない。野生では誰も刻んでくれません
- 予防② 小松菜・チンゲン菜は茎も一緒に(獣医の指示)
- 予防③ レンガとカトルボーンを置く
- 伸びたら自分で切らない。動物病院で処置してもらう
嘴が伸びてきたのを見つけると、心配になると思います。ですが伸びること自体は、飼育下では珍しくありません。大事なのは、伸び方が異常でないかを見分けることと、ペースを落とす習慣を持つことです。
日々の観察ポイントはリクガメを長生きさせるために、私が見ている4つのこと、飼育の全体像はリクガメの飼い方 完全ガイドをどうぞ。
ちなみに「餌を刻まない」以外にも、私が通説どおりにしていないことがいくつかあります。判断の物差しはリクガメ飼育の「常識」、14年やって違うと思ったことにまとめました。




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