🐢 この記事の結論(先に要点だけ)
選び方:保温器具は「役割」で分けると迷いません。①日中のホットスポットをつくるバスキングライト、②夜間や冬の温度維持を補助する暖突など、③それらを管理するサーモスタット。
夜間の保温は、これから買うなら暖突です。私は保温球を約10年、そのあと暖突Lを5年使ってきました。決め手は保温力ではなく「温められる範囲」です。
ただし暖突は取り付け方で結果が変わります。生体に近づけて設置しないと効きません。
いちばん大事なのは温度勾配。ケージ全体を一様に温めず、暖かい場所と涼しい場所をつくります。冬は湿度にも目を向けます。
リクガメの飼育で温度管理は欠かせませんが、保温器具は種類が多く、どれを揃えればいいのか迷いやすい用品です。冬支度で調べると、夜間の保温には暖突(だんとつ)と保温球(赤外線スポットライト)のどちらがいいのか、という疑問にも必ずぶつかります。
この記事では、リクガメを14年以上飼育してきた経験から、保温器具の役割と選び方を整理したうえで、保温球を約10年、暖突Lサイズを5年使ってきた結論もお伝えします。
具体的な組み合わせでは、バスキングライトに「GEX エキゾテラ サングロー タイトビーム 75W」、夜間の保温に「暖突 Lサイズ」、温度管理に「GEX エキゾテラ タイマーサーモ RTT-1」を使っています。
大前提:理想は部屋ごとエアコン管理
先に大前提をお伝えしておくと、理想を言えば、エアコンで部屋ごと温度を一括管理するのがいちばん安定すると思っています。室温そのものが安定すれば、リクガメにとっても飼い主にとっても管理が楽になります。ただ、電気代などの現実的な事情もあるので、我が家では保温器具を組み合わせて温度をつくっています。このあたりは各家庭の事情に合わせて選べばよいと思います。以下では、一般家庭でエアコンによる部屋全体の温度管理を行わない場合を前提に、補助保温器具の使い方を説明します。
いちばん大事なのは「温度勾配」をつくること
保温というと「ケージ全体を一定の暖かさにする」とイメージしがちですが、リクガメ飼育で大切なのは、暖かい場所(ホットスポット)と涼しい場所(クールスポット)の両方をつくることだと考えています。リクガメは自分で暖かい場所と涼しい場所を行き来して体温を調整するので、一つの器具でケージ全体を均一に温めるより、メリハリのある温度勾配を用意してあげるほうが良いと思っています。
保温器具のタイプと役割

バスキングライトは、日中のホットスポットをつくる点の熱です。リクガメが甲羅を温め、体を動かすスイッチになる大事な場所です。ここで一つ工夫として、バスキングライトはただ設置するだけでなく、光が当たる場所に石やプレートを置いておくのがおすすめです。プレートが温まることで、リクガメが腹甲(お腹側の甲羅)までしっかり温められるようになります。私はこのホットスポットづくりを特に重視しています。
保温器具(暖突など)は、上部の広い面から遠赤外線を下方向へ放射し、リクガメの甲羅や床、ケージ内の構造物を比較的広い範囲で温めるタイプです。温められた物体から周囲へ熱が伝わることで、夜間や寒い時期の温度維持を補助します。光を出さないため夜間にも使えますが、室温やケージの大きさ・材質・通気性によって効果は変わります。暖突だけで必要な最低温度を維持できない場合は、エアコンなどを併用します。
この「夜間の保温」を暖突と保温球のどちらに任せるかは、このあと詳しく書きます。
夜間の冷えが、なぜそこまで問題なのか
爬虫類は変温動物で、自分で体温をつくれません。周囲が暖かければ動けますが、冷えればそのまま体温も下がります。
見落とされがちなのが明け方です。日中はライトで暖かくても、消灯後、とくに明け方は室温がぐっと下がります。人が寝ている時間帯なので気づきにくい。「昼間は暖かいから大丈夫」と思っていても、夜のあいだにケージ内が想像以上に冷えていることは珍しくありません。
体が冷えると、不調が連鎖します。動きが鈍くなり、次に消化が滞ります。爬虫類は体を温めてはじめて食べたものを消化できるので、冷えたままだと胃腸に食べ物が停滞します。食欲の低下は、その先に出てくる症状です。
そして、いちばん怖いのがこれです。
冷えて動けなくなった個体は、温かい場所にたどり着けません。狭い一点だけを温めていると、そこから外れた場所で冷えた生体は「暖かいところへ行こう」と思っても体が動かず、その場で固まってしまいます。温かいスポットを用意していても、そこへ移動できなければ意味がありません。
餌を食べないときに見直す順番は「リクガメが餌を食べない」にまとめています。
夜間の保温は暖突と保温球どっち?10年と5年使った結論
結論から書くと、これから買うなら暖突をおすすめします。私はリクガメの夜間保温に、保温球を約10年、そのあと暖突Lサイズを5年使ってきました。

暖突と保温球は、何が違うのか
先に共通点から書きます。どちらも遠赤外線(輻射熱)で温めるヒーターです。空気そのものをガンガン温めるのではなく、熱が届いた床材・シェルター・生体といった「モノ」を温め、その熱がじんわり周囲に伝わっていきます。ここは両者で同じです。
違いは「温められる範囲」と「省エネ性」です。
| 暖突 | 保温球 | |
|---|---|---|
| 温め方 | 面で広く | 一点を強く |
| 光 | 出ない | 赤く光る |
| 消費電力 | 低め | 高め |
| 表面温度 | 不織布で覆われている | 高温・やけど注意 |
| 動作確認 | 見た目で分からない | 光で一目 |
| 消耗 | 5年間トラブルなし | 球切れあり |
| 設置 | 天井に固定が必要 | ソケットに挿すだけ |
暖突を5年使って感じていること
良いと思っている点は3つです。
- 光を出さない。夜間に使っても昼夜のリズムを乱しません
- 表面が不織布で覆われていて、比較的安全。保温球のようなやけどのリスクが構造的に抑えられています
- 5年間、故障ゼロ。断線も、発熱しなくなることもなく、反射板の劣化や変色も出ていません
悪い点も2つあります。
- 保温力そのものは、そこまで高くありません。面でじんわり温めるぶん、一点を強く温めるパワーは保温球に軍配が上がります
- 光も音も出ないので、動いているか見た目で分かりません。冬場はときどきヒーター面に触れて確認する習慣をつけておくと安心です
保温球を10年使って感じていたこと
保温球にも、暖突にはない良さがあります。一点を強く温められること、点いているかどうかが光で一目で分かること、ソケットに挿すだけで使えること。設置に工夫が要らないのは、地味に大きな利点です。
そのうえで、気になっていた点を書きます。
ひとつは赤い光です。「爬虫類に赤い光は見えない」という説もありますが、点灯するとうちのリクガメは「びくっ」と動きます。見えているのだと思います。
もうひとつは球切れです。光が消えるので気づきやすいとはいえ、突然切れます。はずれ品を引いて、購入から1週間足らずで切れたこともありました。表面が高温になるので、生体が触れない配置も必要です。
私が10年使った保温球から暖突に替えた理由
先に書いておくと、保温球への不満で替えたわけではありません。10年使えたということは、それだけ問題なく飼育できていたということでもあります。
きっかけはケージのサイズアップでした。2匹目のリクガメを迎えたタイミングで、ケージを900mmから1200mmに大きくしています。
ケージが広くなれば、温めなければならない空間も増えます。点で温める保温球だけでは、全体の温度を底上げしきれなくなってきました。
実際、こんな場面がありました。
ライトの照射範囲から外れた場所で寝ていたリクガメが、エサ皿にエサを入れてしばらく経っても出てこない。ケージの隅で眠ったまま動かないのです。
リクガメにとってエサの時間は、本来うれしいはずです。その大好きなエサへの反応すら鈍る。冷えて活性が落ちるというのは、こういうことなのかと実感しました。前に書いた「冷えて動けず、取り残される」が、実際に起きていたわけです。

暖突に替えてからは、冬の夜でも、暖突の下でリクガメがすやすや眠っている姿を見られるようになりました。広い範囲がしっかり温まっている安心感は、保温球だけだった頃とは比べものになりません。
この「夜、暖突の下で気持ちよさそうに寝ている姿を見て安心できる」という実感が、私が暖突をすすめる一番の理由です。
最大の注意点|暖突は「取り付け方」で決まります
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
上に書いたとおり、暖突は保温力がずば抜けて高い器具ではありません。そのため、生体になるべく近づけて設置しないと、本来の効果が出ません。「天井に付けたから大丈夫」とはならない器具です。
暖突を買う前に、まず設置方法を決めておくこと。これが失敗しないための一番のポイントだと思います。とくにこれから自作ケージを作る方は、保温器具の取り付け方まで設計に含めておくことを強くおすすめします。
我が家は天井を格子状にしてチェーンで吊るしています
自作ケージなので、暖突を取り付けやすいように天井部分を格子状にして、チェーンで吊るしています。
この方式の利点は、高さを後から調整できることです。暖突は生体に近づけたほうが効くので、季節や状況に応じて距離を変えられる構造にしておくと扱いやすくなります。
自作ケージについては「リクガメの自作ケージで失敗しないために」に書いています。
サーモスタットはほぼ必須
保温器具を使ううえで、私はサーモスタットはほぼ必須だと考えています。設定した温度で自動的にオン・オフしてくれるので、温度の上がりすぎ・下がりすぎを防げますし、安全面でも安心です。さらに、温度の管理だけでなく、時間でオン・オフを切り替えられるタイマー機能つきのものもあり、昼夜のリズムをつくるのにも役立ちます。保温器具とセットで用意しておきたい用品です。
暖突は温度調整機能を持たないので、サーモスタットと組み合わせて使います。
私は「GEX エキゾテラ タイマーサーモ RTT-1」を接続しています。温度管理はもちろん、昼と夜で違う温度を設定でき、照明のON・OFFも時間指定できます。バスキングライトと保温器具をまとめて自動管理できるので、毎日の手間がかなり減ります。
サーモスタット:タイマーサーモ RTT-1
初めて使ったサーモスタットですが、便利な機能が多く気に入っています。とくに良いと感じているのが、最低気温・最高気温を簡単に設定できるところです。温度管理に加えて、時間によるオン・オフもできます。
バスキングライトとUVライトは分けて使っている
保温とは別に、ライトは紫外線・バスキング・LEDの3種類が必要です。役割の違いと揃える優先順位は「リクガメに必要なライトは3種類」にまとめています。
バスキングライト側の考え方は「「リクガメにバスキングライトはいらない」と思った人へ」に詳しく書いています。設置する角度で、ケージ内の温度の広がり方が変わります。
なおこの2つを揃えても、ケージの「明るさ」は足りていないことがあります。実測値は「あなたのリクガメ、暗い部屋で暮らしていませんか」にまとめました。
紫外線(UV)とバスキングが一灯になった一体型のライトもあります。便利な反面、私はあえてバスキングライトとUVライトを別々の製品にしています。理由は、それぞれの点灯タイミングをずらしたいことがあるからです。熱はほしいけれど紫外線はそこまで、という調整を別々にできるほうが、私には合っています。紫外線ライトの選び方はリクガメの紫外線ライトの選び方にまとめています。
バスキングライト:サングロー タイトビーム
前述のとおり、UVと一体型のライトもありますが、点灯のタイミングをずらしたいので、あえてバスキング専用のこのライトを使っています。
冬は温度だけでなく、湿度にも目を向ける
冬は保温と同じくらい、加湿も大事だと感じています。温度が低いとリクガメの活動量は落ちますし、保温器具を使う季節はケージの中が乾きやすくなります。温度計だけでなく、温湿度計で湿度の数字も見ておくと安心です。
冬の餌の量や過ごし方は「リクガメを冬眠させない冬の飼い方」にまとめています。
保温球と「甲羅の乾燥」について
保温球を使っている方向けに、もう一つ触れておきます。
一説には、赤外線の保温ライトを浴び続けると甲羅が乾燥し、甲羅のぼこつき(ピラミッディング)の原因になると言われることがあります。
正直に書きます。我が家では約10年、保温球を使っていましたが、気になるようなぼこつきは出ていません。
ぼこつきは、保温球単体というより低湿度やエサの与えすぎによる急成長との関連が指摘されることが多いようです。「保温球を使うと必ずぼこつく」というより、複数の要因が重なってリスクが上がる、という理解のほうが実態に近いかもしれません。
我が家は湿度対策に凝ったことはしていません。ただ、人工飼料を与えすぎないようには気をつけていました。成長が早すぎることとの関連が言われているので、これが結果的に良かったのかもしれません。
飼育の通説をどこまで信じるかについては「リクガメ飼育の「常識」、14年やって違うと思ったこと」にもまとめています。
結局、夜間の保温はどちらを選べばいいのか
暖突が向いている人
- 光を出さずに、夜間もケージ全体を保温したい
- やけどや球切れの心配を減らしたい
- 消費電力を抑えたい
- ケージの天井構造を自分で調整できる
保温球が向いている人
- ケージが小さく、一点をしっかり温めたい
- 設置に手間をかけたくない(ソケットに挿すだけで使いたい)
なお、どちらも遠赤外線ヒーターなので、空気そのものを温めるのは得意ではありません。突き詰めれば、いちばん理想的なのは、この記事の最初に書いたとおりエアコンで部屋ごと管理してしまうことです。
まとめ
- 保温器具は役割で分ける。バスキングライト・夜間の保温器具・サーモスタットの3つ
- いちばん大事なのは、暖かい場所と涼しい場所の温度勾配
- 夜間の保温は、保温球を約10年、暖突Lを5年使ってこれから買うなら暖突。決め手は温められる範囲
- 暖突は保温力が高くないので、生体に近づける設置が必須。動作は見た目で分からないので冬はときどき触って確認
- サーモスタットはほぼ必須。タイマーサーモRTT-1なら昼夜で温度を変えられ、ライトのON・OFFもまとめられる
- 保温球が悪いわけではない。小さいケージのスポット保温には今でも有効
- 冬は温度だけでなく湿度も見る
暖突は「買って設置すれば終わり」ではなく、どう取り付けるかで結果が変わる器具です。購入を迷っている方は、買う前に「どこに、どうやって、生体からどのくらいの距離で付けるか」まで一度イメージしておくと、失敗がぐっと減るはずです。飼育用品全体はギリシャリクガメに必要な飼育用品に、飼育の全体像はリクガメの飼い方 完全ガイドにまとめています。
お迎え前に費用の全体像をつかみたい方は、リクガメの初期費用 見積もりツールもどうぞ。6つの質問で必要な用品と初期費用・維持費の目安がわかります。




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