リクガメを飼育していると、ケージの中をのんびり歩く姿を眺めるうちに「もう一匹迎えてみたい」と思うことがあります。2匹目、3匹目を考え始める飼育者は少なくありません。
リクガメ飼育の全体像は、リクガメの飼い方 完全ガイドにまとめています。よければあわせてどうぞ。
ただ、多頭飼いには賛否両論があります。複数飼育ならではの楽しさを挙げる人もいれば、リスクの面から単独飼育をすすめる人もいます。
筆者は現在、3匹のギリシャリクガメを飼育しています。3匹になる前には2匹での飼育期間も長く、複数飼育を続けてきました。その経験をもとに、多頭飼いで感じたメリットとデメリットを紹介します。

まず、我が家の具体的な構成を紹介しておきます。種類はすべてギリシャリクガメ(テレストリス)で、内訳はメス2匹(いずれも甲長20cmほど)とオス1匹(甲長15cmほど)。このオスは最近迎えたばかりで、3匹目です。この実際の構成を踏まえて、以下を読んでいただけると具体的にイメージしやすいと思います。
リクガメの多頭飼いは可能?
結論から言うと、多頭飼いは基本的に可能です。複数のリクガメを同じ環境で飼育している人は実際に多くいます。
ただし、リクガメには個体差があり、相性も関わってきます。同じ種類でも性格は一頭ずつ違うため、すべての組み合わせがうまくいくとは限りません。飼育を始めてから様子を見て、必要なら飼育方法を調整していく姿勢が大切になります。
なお、頭数が増えれば、その分だけ必要な生活スペースも広くなります。ケージの広さについては、リクガメのケージは広ければ広いほど良いと思う理由でも詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。
私が感じる多頭飼いのメリット
飼育の楽しみが大きく増える
複数飼育で最も実感しているのが、観察の楽しさです。同じギリシャリクガメでも、よく動き回る個体もいれば、ゆっくり過ごす個体もいます。餌への食いつき方や、好む場所、成長のスピードにも違いが出てきます。
一頭ずつの性格や行動の違いを見比べられるのは、単独飼育では味わえない面白さだと感じています。
餌食いが良くなることがある
複数で飼育していると、一匹が食べ始めた様子につられて、ほかの個体も食べ始めることがあります。採食行動がお互いの刺激になっている場面を何度か見てきました。
単独で飼育していたときには見られなかった反応が出ることもあり、餌への反応という点で良い方向に働く場合があります。
人工飼料に慣れるきっかけになることがある
人工飼料をなかなか口にしない個体もいます。そうした個体を、すでに人工飼料を食べている個体と一緒に飼育したところ、興味を示すようになった経験があります。
ほかの個体が食べている様子が刺激となり、少しずつ人工飼料を口にするようになることもありました。すべての個体に当てはまるわけではありませんが、多頭飼育ならではのメリットの一つだと思っています。
人工飼料の取り入れ方や餌全体の選び方については、ギリシャリクガメのおすすめの餌まとめ|野草・野菜・人工フードの使い方とローテーションの考え方にまとめているので、あわせて参考にしてみてください。
活動量が増えることがある
複数で飼育していると、ほかの個体を意識して動く場面が見られます。ケージ内を歩き回る機会が増え、全体的に活発になったと感じることもありました。
これは私がいちばん実感しているメリットです。正直に言うと、1匹で飼っていた頃と比べて、多頭飼いにしてから明らかにみんな活発になった印象があります。お互いを意識して動くからなのか、ケージ内を歩き回る機会が増えました。「リクガメをもっと活発に過ごさせたい」という方には、多頭飼いはおすすめできると感じています。
繁殖を目指せる可能性がある
オスとメスを飼育している場合は、繁殖を視野に入れられます。繁殖行動や産卵といった一連の様子を観察できるのは、複数飼育ならではの魅力です。繁殖を目指すかどうかは別として、生き物としての営みを間近で見られる機会になります。

多頭飼いのデメリット
病気や寄生虫を持ち込むリスク
新しく迎えた個体が、病気や寄生虫を保有している可能性があります。リクガメが寄生虫を持っていること自体は珍しくなく、単独飼育では問題がなかったものが、複数飼育をきっかけに症状として現れることもあります。
必ず問題になるわけではありませんが、注意しておきたい点です。新しい個体を迎えるときは、検便や健康チェックを受けておくと安心材料になります。状況によっては駆虫を検討する価値もあります。判断に迷う場合は、爬虫類を診てくれる動物病院に相談するとよいでしょう。
誰がどれだけ餌を食べているのか分かりにくい
個人的に最も気をつけたいのが、個体ごとの摂食量が把握しづらくなる点です。朝に餌を与えて帰宅後に回収する飼育スタイルは多いと思いますが、その場合、餌がなくなっていても、どの個体がどれだけ食べたのかは分かりません。
一匹だけがよく食べ、もう一匹はあまり食べていない、という状況も起こり得ます。摂食量の偏りに気づきにくいぶん、定期的な体重測定や、餌やり時の観察が役立ちます。体重の変化を記録しておくと、食べられていない個体に早めに気づきやすくなります。
個体ごとの摂食量が把握しづらい点は注意したいところですが、我が家に関して言えば、今のところ餌の取り合いをしている印象はありません。3匹とも問題なく食べられているようです。ただ、これは運やケージの広さにもよると思うので、心配な場合は定期的な体重測定で「食べられていない子がいないか」をチェックすると安心です。
相性によっては別々に飼育する必要もある
個体同士の相性によっては、追い回しやマウンティングが起こることがあります。落ち着かない状態が続くようなら、ケージを分けたほうがよい場合もあります。
ただし、こうした行動が必ず起こるわけではありません。問題なく過ごしている組み合わせも多く、個体差が大きい部分だと感じています。
我が家でも、相性に関するエピソードがありました。3匹目のオスを迎えたとき、このオスが発情していて、メスにアプローチしていたんです。「これはトラブルになるか?」と少し身構えたのですが、結果から言うと、メスのほうが強くて、すぐに収まりました。力関係でいうと、うちは完全にメス優位のようです。リクガメは必ずしもオスが強いわけではなく、個体やサイズ(うちはメスのほうが大きい)で力関係が決まるんだな、と実感した出来事でした。
相性についてもう少し具体的に。うちのメス2匹は、とても仲良くしています。並んで過ごしていることも多く、見ていて微笑ましいです。一方で新入りのオスはメスに軽くあしらわれている状態。こうした「この子とこの子はこういう関係」というのが見えてくるのも、多頭飼いならではの面白さだと思います。
多頭飼いを始める前に準備したいこと
いつでも分けて飼育できる環境を用意しておく
相性が悪かったときに備えて、別のケージや予備の設備を準備しておくと安心です。同じケージで飼い続ける前提だけで考えていると、いざ分ける必要が出たときに対応が難しくなります。すぐに分けられる環境があると、判断に迷わずに済みます。
予備のケージは市販品でもかまいませんが、置き場所に合わせて用意したいなら自作も選択肢になります。リクガメの自作ケージで失敗しないために|作る前に考えたいポイントも参考にしてみてください。
新しい個体はしばらく健康状態を観察する
新しく迎えた個体は、すぐに一緒にせず、しばらく単独で様子を見る期間を設けると安心です。食欲、排泄、活動量、体調の変化などを確認し、問題がなさそうだと判断できてから合流を考えると、先住個体への影響も抑えやすくなります。
個人的には多頭飼いのメリットの方が大きいと感じている
注意点はあるものの、長く複数飼育を続けてきた経験から、個人的にはメリットの方が大きいと感じています。
飼育の楽しみが増え、活発な行動が見られ、餌食いが良くなることもあります。人工飼料に慣れるきっかけになる場合もありました。一方で、病気や寄生虫の持ち込みには十分注意したいところです。良い面とリスクの両方を理解したうえで取り組めば、多頭飼育は飼育の幅を広げてくれると思います。
まとめ
リクガメの多頭飼いは基本的に可能で、観察の楽しさや採食への良い刺激など、複数飼育ならではのメリットがあります。一方で、病気や寄生虫の持ち込み、個体ごとの摂食量の把握しづらさ、相性の問題といった注意点もあります。
無条件におすすめできるものではありませんが、いつでも分けられる環境を整え、新しい個体の健康状態を確認したうえで始めれば、リスクは抑えやすくなります。2匹目を検討しているなら、迎える個体の健康チェックと、分けて飼える準備から始めてみてください。
これからリクガメを迎える方は、リクガメを飼う前に知っておきたいこと|毎日の世話で本当に大切なこともあわせて読んでおくと、日々の世話のイメージがつかみやすくなります。


コメント