ペアリングがうまくいき、メスが抱卵したら、次の山場が産卵と卵の管理です。ゼノガマの繁殖では、ここがいちばん難しく、私自身もいまだに試行錯誤しているところです。この記事では、産卵が近いサインの見極めから、産卵床のつくり方、産んだ卵の孵卵管理まで、我が家で実際にやっている流れを紹介します。先に結論を言えば、メスの食欲が落ちたら産卵が近く、産まれた卵は向きを変えずに28〜32度で管理する、これが軸になります。
温度管理には、ポータブルタイプの冷温庫を使うと安定させやすくおすすめです。寒い時期の孵卵器代わりとしても重宝しています。
産卵が近いサイン:メスの食欲が落ちる
抱卵したメスには、産卵が近づくとはっきりしたサインが出ます。それは餌の食いが悪くなることです。それまで普通に食べていたメスが、急に餌に興味を示さなくなったら、お腹の卵で食欲が落ちてきた合図と見ています。ここからが繁殖の山場です。
食欲以外にも、見た目でわかる変化があります。抱卵した個体は明らかにおなかが大きくなり、いつも以上にずんぐりとした体型になります。横から見ても上から見ても、お腹まわりがぷっくりと張ってくるので、日頃から体型を観察していれば「抱卵しているな」と気づけるはずです。
なお、うちの環境では交尾をした正確なタイミングをつかめないことが多く、そのため抱卵からどれくらいで産むという抱卵期間は正直わかりません。だからこそ、日付でカウントダウンするのではなく、食欲の低下やお腹の張りといった、メス本人が出すサインを頼りに産卵の近さを読むようにしています。
産卵床のつくり方
産卵が近いと判断したら、まず用意するのが産卵床です。産卵用のスペースには、湿らせた土を10cmほど敷いています。使っているのは家庭菜園の土で、特別な床材ではありません。大事なのは、掘っても穴が崩れないよう、全体をしっかり湿らせておくこと。乾いた土だと掘った穴がすぐ崩れ、産卵場所として使ってもらえません。
ゼノガマには巣穴を掘って産卵する習性があるので、安心して掘れる深さと湿り気を用意してあげることが大切です。あわせて、産卵床のあるスペースにもバスキングできる場所と隠れ家を用意し、慣れない環境でもメスが落ち着けるようにしています。掘る・隠れる・温まるが一通りできる状態を整えておくイメージです。

産卵のタイミングを読む(満月の経験則)
産卵床を用意したら、次はいつ産むかを読むことになります。これがいちばん難しいところです。これは私の経験則で確証はありませんが、うちのゼノガマは満月の翌朝に産卵することが多い気がしています。そこで暦を確認し、満月の3日前くらいには、メスを産卵床に移すようにしています。早めに移して、落ち着いて過ごす時間をつくるイメージです。
満月というのはあくまで我が家での傾向で、すべての個体に当てはまる保証はありません。ただ、暦を一つの目安に置いておくと、産卵床への移動が後手に回りにくく、心の準備もしやすくなります。
産卵を促すには
満月の夜には、多めに霧吹きをして湿度を一段引き上げます。それでも産まないときは、温度を少し上げるなど、環境に小さな変化を加えて産卵を促します。「いつもと違う」という刺激を与えるイメージです。
ただし、ここで気をつけているのは、環境に小さな変化を加える以外は極力干渉せず、ストレスを与えないように心がけることです。気になってケージを何度も覗いたり、頻繁に手を入れたりすると、かえってメスが落ち着かず産卵が遠のくことがあります。刺激は最小限に、あとはそっと見守る。このあたりの読みは本当に難しく、今も毎年手探りしています。

卵の掘り出しと「転卵させない」
無事に産卵が済んだら、土に埋まった卵を慎重に掘り出します。このとき絶対に守っているのが、卵の上下を変えない(転卵させない)ことです。爬虫類の卵は産み落とされた向きが決まっていて、上下が入れ替わると中の胚がダメになってしまいます。掘り出すときも移すときも、向きを保ったまま扱います。
上下がわからなくならないように、転卵防止のためにマジックで卵の上面に印をつけることもあります。掘り出す前に上になっている面へ軽く印をつけておけば、孵化材へ移すときも迷わず同じ向きで置けるので安心です。ペンのインクが気になる場合は、あくまで軽く、卵の呼吸を妨げない程度に留めています。
掘り出すと、卵どうしがくっついた塊になっていることがあります。この場合は無理に分けず、塊のまま向きを保って移します。理由と例外は爬虫類の卵がくっついた…そのままで大丈夫?にまとめました。

卵の管理(孵卵):28〜32度で45〜50日
掘り出した卵は、バーミキュライトか市販の孵化材(ハッチライトなど)で管理します。孵化に向けた温度は28〜32度程度をキープするイメージです。寒い時期は室温任せでは足りないので、私はネットで1.5万円ほどで買える冷温庫を使って温度を管理しています。温度を一定に保ちやすく、孵化器代わりとして重宝しています。この管理で、だいたい45〜50日ほどで孵化します。待っている間は気が気ではありませんが、ここはぐっと我慢です。

キャンドリングはしない
卵の中が気になって、光を当てて中を見るキャンドリングをしすぎてしまい、死籠り(孵化直前で死んでしまうこと)を経験したことがあります。原因と断定はできませんが、キャンドリングのし過ぎは胚にストレスを与える行為で、頻繁に動かしたり光を当てたりが胚に負担をかけたのではと反省しています。お伝えしたいのは、キャンドリングはしなくて大丈夫だということです。
有精卵かどうかは、光を当てなくても判断できます。産卵から2、3週間ほど経つと、有精卵は自然と卵が膨らんでくるので、それで順調かどうかがわかります。逆に、この段階で明らかにへこんだまま・変色しているなど、無精卵とはっきりわかるものについては、廃棄することをおすすめします。どちらか判断がつかない場合は、無理に捨てず、そのまま管理を続けてください。
なぜ明らかな無精卵を早めに取り除くかというと、無精卵は時間が経つとカビが出る可能性があり、そのカビが同じ容器内の有精卵に影響を及ぼす恐れがあるからです。周りの正常な卵を守るための処置と考えています。気持ちは分かりますが、健康な卵に対しては「何もしない」が正解でした。
ポロリ産卵に注意
産卵のタイミングを読み切れず、産卵床のあるスペースに移す前に、メインケージで産卵してしまったことがあります。メインの床材が人工芝だったため、産み落とされた卵が上を転がって向きが変わり、ダメになってしまいました。
この経験からの対策としては、別に産卵床を用意して移すスタイルにこだわりすぎないことです。むしろ、飼育ケージ内をいつでも産卵できる環境にしておくほうが確実だと感じています。普段のケージの一角に湿らせた土を掘れるスペースを常設しておけば、こちらがタイミングを読み違えても、メスは自分で掘って安全に産んでくれます。産卵が近いサイン(食欲の低下やお腹の張り)を見たら、遅くとも早めに産卵できる環境を整える——これを痛感した失敗です。
まとめ
ゼノガマの産卵・卵の管理は、メスの食欲低下とお腹の張りを合図に、湿らせた土の産卵床を早めに用意し、産まれた卵は転卵させず28〜32度で45〜50日見守る、という流れです。そして、キャンドリングのような余計な手は加えないこと。明らかな無精卵だけは早めに取り除き、有精卵を守ることも忘れずに。繁殖全体の記録は繁殖記録に、前段のペアリングはペアリングの記事に、飼育の全体像はゼノガマの飼育方法にまとめています。




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