リクガメのシェルターは不要|転倒リスクと運動量を考えて置かなくなった理由

リクガメ
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リクガメの飼育用品を調べると、必ずといってよいほどシェルターが紹介されています。身を隠して安心できる場所を作るための用品であり、私も飼育を始めた当初は当然のように設置していました。

しかし、ギリシャリクガメを14年以上飼育してきた現在、我が家の屋内ケージには箱型のシェルターを置いていません。

理由は、シェルターへこもる時間が増えることで活動量が低下すること、歩ける面積を圧迫すること、登ろうとして転倒する危険があることです。

もちろん、リクガメが安心して休める環境は必要です。ただし、その役割を箱型シェルターに任せるのではなく、ケージ全体を落ち着ける退避場所にすればよいと考えています。

結論|ケージ全体を退避場所にする

私が理想としているのは、木材で作ったケージか、ホームセンターで購入できるトロ舟です。

どちらも側面が透明ではないため、ケージの外を歩く人やほかの動物がリクガメから見えにくくなります。横からの視線を遮るという意味では、ケージ全体が大きなシェルターとして機能します。

リクガメを安心させるために、ケージの中へさらに小さな箱を置く必要はありません。ケージ自体を落ち着ける場所にし、その内部はできるだけ広く歩けるようにするのが、現在の私の考えです。

そのため、私は四方が透明なガラスケージをおすすめしていません。外の様子が見える環境を作ったうえで、視線を避けるためのシェルターを追加するより、最初から側面を遮ったケージを選ぶほうが合理的だからです。

リクガメの自作ケージ

野生の退避場所をそのまま再現する必要はない

野生のギリシャリクガメは、植物の下、地面のくぼみ、巣穴などを退避場所として使います。日射や高温、風雨、捕食者から身を守るためです。

実際に野生個体を観察した研究では、気温や日射に応じて活動場所を変え、暑い時間帯には日射を避ける行動が報告されています。ギリシャリクガメの温度と活動に関する野外研究

ただし、野生と飼育下では前提が大きく異なります。

飼育下には通常、リクガメを襲う捕食者はいません。ライト、室温、風雨も飼育者が管理できます。餌や適温を求めて広い範囲を移動する必要もありません。

人の動きや視線を危険なものとして感じている個体に対し、ケージ内へ完全に姿を隠せる箱を置けば、そこへ長時間こもるのは不思議ではありません。

それならば、外からの視線をケージの壁で遮り、ケージ全体を安全な場所にしたほうがよいと私は考えています。

野生環境を意識することは大切です。しかし、野生に存在する物を形だけ再現するのではなく、「何のために使っているのか」を考え、その目的を飼育下に合った方法で満たす必要があります。

最大のデメリットは活動量が低下すること

私がシェルターを置かない一番の理由は、活動量を確保するためです。

シェルターの中で過ごしている時間は、歩行、採食、探索に使われない時間でもあります。休息自体が悪いわけではありませんが、狭い飼育環境で一日の多くをシェルター内で過ごす状態が、本当に理想的なのかは考える必要があります。

野生のリクガメは、餌、適温、休息場所、繁殖相手などを探して移動します。一方、飼育下では餌もライトも限られた範囲に用意されます。生きるために歩かなければならない距離が、野生より少なくなりやすい環境です。

だからこそ、飼育下では意識的に歩ける場所を残すことが重要だと考えています。

木製ケージやトロ舟で横からの視線を遮り、温度勾配と休息できる環境を確保できているなら、残された床面積はシェルターではなく運動のために使うべきです。

シェルターが歩ける面積を圧迫する

家庭で用意できるケージの床面積には限りがあります。そこへリクガメの体が入る大きさのシェルターを設置すると、実際に歩ける面積はさらに狭くなります。

例えば、90×60cmのケージの床面積は5,400平方cmです。そこへ30×25cmのシェルターを置くと、750平方cm、割合にして約14%を占有します。

シェルターの周囲にできる狭い隙間や、方向転換しにくい場所まで考えると、自由に使える面積は数字以上に減ります。

ケージを広くできない環境ほど、床の上へ何を置くかは慎重に考えなければなりません。限られた場所へ用品を増やすより、歩ける空間として残すほうがリクガメにとって有益だと考えています。

ケージの広さに対する考え方は、リクガメのケージは広ければ広いほど良いと思う理由で詳しく解説しています。

シェルターは転倒の原因にもなる

リクガメはシェルターへ入るだけでなく、壁面や屋根へ登ろうとすることがあります。側面に足をかけたり、ケージとの隙間へ入り込んだりした結果、バランスを崩して転倒する可能性があります。

仰向けになっても自力で戻れる個体はいますが、必ず成功するとは限りません。ヘルマンリクガメを使った研究でも、転倒からの復帰能力には個体差があり、大きな個体ほど復帰に不利な傾向が報告されています。リクガメの転倒復帰能力に関する研究

留守中にバスキングライトの下で転倒すれば、長時間高温にさらされる危険もあります。

我が家でも、シェルターが転倒のきっかけになった事例がありました。必要性が低く、床面積を圧迫し、事故の原因にもなり得る物なら、置かないほうが安全だと判断しています。

シェルターに登るリクガメ
シェルターから手が滑るリクガメ
転倒するリクガメ

シェルターなしは「何もないケージ」ではない

シェルターを置かない場合は、ケージ全体の設計が重要になります。

  • 木製ケージやトロ舟で横からの視線を遮る
  • 暖かい場所と涼しい場所を作る
  • 潜ることができる床材を十分に敷く
  • ライトから離れて休める範囲を確保する
  • 転倒につながる高い段差を置かない
  • リクガメが方向転換しながら歩ける広さを残す

シェルターという用品を外す代わりに、温度、明るさ、床材、視線、歩行面積をケージ全体で整えます。

ただし、お迎え直後の個体、体調を崩している個体、床材へ潜れない環境、屋外で日射や風雨を避ける場所がない場合などは、退避場所が必要です。撤去後に食欲低下、体重減少、落ち着かない行動が見られる場合も、環境を見直してください。

我が家の実際のケージ内の配置は、リクガメケージのレイアウトを紹介|乾燥系リクガメで意識しているポイントで紹介しています。

まとめ

リクガメが落ち着いて休める環境は必要ですが、市販の箱型シェルターが必須だとは考えていません。

木製ケージやトロ舟で側面からの視線を遮れば、ケージ全体を大きな退避場所として機能させられます。そのうえで内部にシェルターを置かず、限られた床面積を歩行、採食、探索のために残すのが我が家の飼育方法です。

飼育下では、野生下よりも移動する必要が少なくなります。だからこそ私は、必要以上にこもれる場所を作るより、活動量を確保することを優先しています。

用品を置くこと自体を目的にするのではなく、その用品が本当に必要な機能を提供しているか、反対に運動や安全を妨げていないかを考えることが大切です。

お迎え前に揃えたい飼育用品の全体像は、ギリシャリクガメに必要な飼育用品は?お迎え前に揃えたいアイテムを紹介でまとめています。

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