リクガメ飼育の「常識」、14年やって違うと思ったこと

リクガメ
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🐢 この記事の結論(先に要点だけ)

私の物差しは2つだけです。「野生ではどうなのか」と、「その数字の出どころはどこか」。この2つで判断してきました。

結果、通説どおりではなかったことが9つあります。温浴、餌の刻み方、給餌の頻度、シェルター、水入れ、ケージの素材など。

ただし同じ物差しで、通説が正しいと分かることもあります。温度勾配がそうです。これは否定するための道具ではありません。

そして通説は変わります。一次情報を持つ人の発信が増えれば、動きます。

飼育を始めたときから、野生を想像して決めてきました

リクガメの飼育情報を調べると、いろいろな「こうするべき」が出てきます。温浴は定期的に、餌は一口大に刻んで、シェルターを置いて、水入れは必須で——。

私はギリシャリクガメを14年以上飼っていますが、そのうちのいくつかは、今もやっていません。

やってみたら違った、という話ではありません。飼育を始めた当初から、野生ではどうなのかを意識していました。だから温浴や毎日の給餌については、最初から疑っていたというのが正直なところです。

この記事では、何を疑い、なぜそう判断したのかをまとめます。結論だけでなく、判断の仕方そのものを書くつもりです。そのほうが、読んだ方が自分で考えられるようになると思うからです。

物差し①|野生ではどうなのか

迷ったときに、まずこれを考えます。野生のリクガメは、どうやって暮らしているのか。

いくつか例を挙げます。

餌を刻むか

「一口大にカットして与える」と書かれていることがあります。ですが、野生では誰が刻んでくれるのでしょうか。

リクガメは嘴で噛みちぎってから飲み込みます。置いたサイズと飲み込むサイズは別です。むしろその噛みちぎる動作が、嘴を使う機会になります。

温浴は必要か

野生のリクガメは、温浴をしません。誰もお湯を張ってくれないからです。

それでも生きています。なのに飼育下では「定期的に温浴を」とされている。ここに理由があるのかどうかを考えるところから始めました。

毎日餌を与えるべきか

野生では、天候の都合で毎日食べられるとは限りません。そして飼育下のリクガメは、野生と比べて運動量が圧倒的に少ない。

この2つを考えれば、毎日きっちり与えるほうがむしろ不自然です。我が家では2〜3日続けて餌を抜くことがざらにあります。

同じ物差しで、通説が正しいと分かることもあります

ここが大事なところです。この物差しは、通説を否定するための道具ではありません。

代表が温度勾配です。「ケージ内に暖かい場所と涼しい場所を作りましょう」という、どこにでも書かれている話。

野生を想像すれば、これは当然です。日なたがあり、木陰があり、岩の下がある。リクガメは自分で移動して体温を調整しています。その選択肢を飼育下でも用意するのは、まったく理にかなっています。

同じ物差しを当てて、温浴は「違う」、温度勾配は「正しい」という結論が出る。だからこの物差しは使えると思っています。何でも否定できる道具なら、それはただの逆張りです。

温度勾配がなぜ必要なのかは、リクガメのケージが90cm以上必要と言われる、本当の理由に詳しく書いています。

物差し②|その数字の出どころはどこか

もうひとつ、数字が出てきたときに考えることがあります。

たとえば「リクガメの留守番は3日が限度」。あちこちに書かれています。ですが、その3日という数字が、どこから来たのかが分かりません。

誰かが実際に4日や5日を試して、その結果として3日と言っているのか。それとも、どこかで見た数字を書いているだけなのか。後者ではないか、というのが私の見方です。

一次情報を持たない人が、たまたま見た数字を信じ、それを記事にする。それを読んだ人が、また同じ数字を書く。そうやって「3日」が定着したのではないかと思っています。

私は結果的に10日空けたことがあります(その経緯はこちら)。10日を勧めるつもりはありませんが、3日という数字を絶対視する理由も見当たりません。

14年やって、通説どおりではなかったこと

実際に私がやっていないこと、違う結論になったことを並べます。

よく言われること我が家の場合
温浴は定期的にさせる日常的にしていない
餌は一口大に刻む刻まない
毎日餌を与える2〜3日抜くことがある
留守番は3日が限度10日空けたことがある
シェルターは必要置いていない
水入れは必須常設していない
ガラスケージが定番勧めていない
多頭飼いは避けるべき3匹を同じケージで
人工飼料は補助的にほぼ主食

餌まわり

餌を刻まないのは、野生に近い食べ方をさせるためです。ただし刻まなくても嘴は伸びます。我が家の個体も伸びてきています——この正直な話はリクガメのくちばしが伸びてきたに書きました。獣医から言われた予防法も載せています。

人工飼料は補助的にと言われますが、我が家では4年以上使った結果、マズリがほぼ主食になりました。理由はマズリ トータスダイエット5M21のレビューにまとめています。

餌の全体的な考え方は地中海リクガメの餌は何をあげればいい?をご覧ください。

ケージの中身

シェルターを置いていません。理由は野生がどうこうではなく、実害です。登って転倒する危険があり、こもると活動量が落ち、歩ける面積も減る。詳しくはリクガメのシェルターは不要に書きました。

水入れも常設していません。こちらも実用上の判断で、糞尿で汚れやすく、湿って臭いの原因になるためです(リクガメに水入れを置いていない理由)。野生には水たまりも池もあるので、「野生では」を理由にはできません。ここは物差しが違います。

ガラスケージも勧めていません。四方が透明だと落ち着ける場所がなくなり、構造上、空気もこもりやすい。代わりに木製の自作やトロ舟を使っています(ケージの選び方/自作ケージで失敗しないために)。

飼い方そのもの

温浴は日常的にしていません。ただし役に立つ場面があることも書いています(リクガメに温浴は必要?)。

多頭飼いも、避けるべきとは思いません。3匹を同じケージで飼っていて、別居させたことは一度もありません。条件はオス同士にしないことだけです(リクガメの多頭飼いは可能)。

留守番と給餌の頻度については、リクガメ飼育者は長期旅行にいける?にまとめました。

それでも、通説を軽く見ないでください

ここまで読むと「通説は当てにならない」と感じるかもしれません。そう受け取ってほしくはありません。

先ほどの温度勾配のように、通説どおりで正しいことのほうが多いと思っています。紫外線、カルシウム、温度管理。この土台を疑い始めたら、飼育は成り立ちません。

なぜこの3つを疑わないのか。異常が出るまでに時間がかかるからです。

餌の与え方が合っていなければ、数か月で嘴に出ます。多頭飼いが失敗していれば、数日で分かる。ですが紫外線やカルシウムの不足は、骨や甲羅に年単位で蓄積します。

つまり「14年問題なかった」という私の根拠が、ここでは使えません。元気に見えていることが、足りている証拠になりません。だから私は、この領域を疑いません。

それに、この記事に書いたのはすべて我が家の1例です。個体差があり、環境差があり、種による違いもあります。私の結論をそのまま持ち帰らないでください。持ち帰ってほしいのは、結論ではなく考え方のほうです。

疑うべきなのは、理由の書かれていない「こうするべき」です。理由が書いてあって、それが野生の暮らしと噛み合っているなら、素直に従ったほうがいい。

通説は、変わります

最後に、これは私の考えです。

ネットには、一次情報を持つ人の記事と、持たない人の記事が混在しています。見た目では区別がつきません。どちらも同じように整った形で並んでいます。読む側は、それを前提に読む必要があると思います。

ただ、悲観はしていません。一次情報を持つ人の発信が増えれば、持たない人の書くことは、すぐにそちらへ寄ります。参照元が変わるからです。

つまり通説は固定されたものではなく、実際に飼っている人が何を書くかで動きます。今「3日が限度」と言われていることも、実例が積み上がれば変わるはずです。

このブログで飼育の記録を書いているのは、そういう理由です。

まとめ

  • 判断の物差しは「野生ではどうなのか」と「その数字の出どころはどこか」の2つ
  • 同じ物差しで、温度勾配は通説どおり正しいと分かる。否定するための道具ではない
  • 通説どおりではなかったのは9つ。温浴・餌の刻み方・給餌頻度・留守番・シェルター・水入れ・ケージ素材・多頭飼い・人工飼料
  • 疑うべきは理由の書かれていない「こうするべき」
  • 持ち帰ってほしいのは結論ではなく考え方

飼育の全体像はリクガメの飼い方 完全ガイド、日々見ているポイントはリクガメを長生きさせるために、私が見ている4つのことにまとめています。

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