リクガメの自作ケージで失敗しないために|作る前に考えたいポイント

リクガメの自作ケージについて解説する記事のアイキャッチ。土の上にいるギリシャリクガメのアップ写真。 リクガメ
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リクガメを飼っていると、一度は「自分でケージを作ってみようか」と考える時期が来るかもしれません。私自身、飼育を始めて14年ほどになりますが、これまで計3回、自作ケージを作ってきました。

リクガメの飼い方を最初から見渡したいときは、リクガメの飼い方 完全ガイドが参考になると思います。

トロ船でもリクガメは問題なく飼えます。ただ、自作には設置場所に合わせてサイズや形を自由に決められるという大きなメリットがあります。その一方で、完成してから「ここをこうしておけばよかった」と感じる場面も少なくありません。

今回は木材の切り方やネジの選び方といったDIYの手順ではなく、自作ケージを作る前に考えておきたいポイントを、これまでの経験をもとに紹介していきます。

先に結論を言うと、自作ケージでも保温器具は既製品を使うのが安全で確実です。パネルヒーターには「レップジャパン ピタリ適温プラス」、バスキングライトには「GEX エキゾテラ サングロー タイトビーム 75W」を組み合わせています。

そもそも、なぜ私は自作するのか

設計の話に入る前に、「なぜわざわざ自作するのか」をお伝えしておきます。理由は大きく2つです。

ひとつは、単純に私がもともとDIYが好きだから。もうひとつは、それまでトロ舟で飼育していたので、もう少しインテリア性を上げたかったからです。トロ舟は機能面では本当に優秀なのですが、見た目はどうしても「飼育容器」感が出てしまいます。部屋に置くものとして、もう少し雰囲気のあるものにしたい——そう思ったのが自作のきっかけでした。

どれだけ広く作れるかを最優先に考える

自作ケージを考えるとき、私が一番大切にしているのは「どれだけ広く作れるか」という点です。

リクガメは基本的に地面を歩いて暮らす生き物なので、飼育では高さよりも床面積のほうが重要になります。立体的に動き回るわけではないので、上に高くするよりも、平面をどれだけ広く取れるかを優先したいところです。実際に飼っていると、広いスペースを用意したときのほうがよく歩き回っている印象があり、活動量という面でも床面積は効いてくるように感じます。

ケージの広さがなぜそこまで大切なのかについては、リクガメのケージは広ければ広いほど良いと思う理由でもう少し詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。

そして、自作ケージの最大のメリットは、まさにこの広さを自由に決められることだと思います。市販ケージはサイズが決まっていて、設置スペースが余っていてもそのまま活かせないことがあります。自作なら、置ける場所を最大限に使う前提で設計できます。

ここでひとつ意識しておきたいのが、ケージは必ずしも長方形である必要はないということです。市販品は長方形が基本ですが、自作であれば形そのものに自由度があります。ただし、形を凝らすほど作るのは難しくなります。長方形なら直線で組めばよいところを、角度のついた変形にすると、採寸や接合の手間が増えますし、隙間なくきれいに仕上げるのも一段とむずかしくなります。自由に作れることと、作りやすさは別の話なので、自分が無理なく組み立てられる範囲で形を決めるのがよいと思います。

たとえば部屋の角に置くなら、その角の形に合わせて作ることもできます。長方形にこだわると角にデッドスペースが生まれがちですが、設置場所によっては三角形のような変形ケージにすることで、その空間を床面積として活かせる場合もあります。市販ケージを置いていた頃は、ケージの横にどうしても使えない隙間ができてしまうのが少しもったいなく感じていました。自作にしてからは、そうしたスペースまで含めて設計できるようになり、同じ部屋でも以前より広く取れるようになったと思います。

「どんな見た目のケージを作るか」よりも、「リクガメが実際に歩けるスペースをどれだけ確保できるか」。この順番で考えると、無駄の少ない設計になりやすいと感じています。

温度と通気を設計段階から考える

自作リクガメケージの内部。防水加工と保温ライト

広さがある程度確保できると、温度管理の面でも余裕が生まれます。

リクガメの飼育では、ケージ内に温かい場所と涼しい場所の両方を作り、温度勾配をつけられることが大切です。広いスペースがあれば、その勾配も自然と作りやすくなります。狭いと端から端まで似たような温度になってしまい、リクガメが自分で居心地のいい場所を選びにくくなります。バスキングのために暖まれるエリアと、暑くなったときに逃げ込める涼しい場所。この両方を無理なく配置できる広さを意識して設計したいところです。

そして温度と同じくらい気にしているのが通気です。空気がこもると湿気や熱が逃げにくくなるので、風の通り道も設計段階から考えておきたい部分です。

温度や通気の大切さについては、リクガメ飼育でやりがちな失敗|温度だけを気にしてしまうことでも触れています。設計を始める前に目を通しておくと、参考になるかもしれません。

個人的には、ケージに屋根は必須ではないと考えています。むしろ上が開いた開放的な構造のほうが、熱や湿気がこもりにくく、管理しやすいと感じる場面もあります。リクガメは基本的に上には登れないので、脱走の心配も思ったより少ないように思います。もちろん飼育環境や種類、同居する他のペットの有無などによりますが、選択肢のひとつとして頭に入れておくとよいかもしれません。

通気をもう少ししっかり確保したい場合は、将来的にPCファンなどを取り付けられるよう、あらかじめ配線や設置スペースを想定しておくのもひとつの手です。最初から付けなくても、穴を開けられる場所や電源の取り回しだけ考えておけば、必要になったときに無理なく追加できます。

じつはここ、私が1台目で一番失敗したポイントです。1台目を作ったときは、風通しをほとんど意識していませんでした。見た目と広さばかりに気を取られて、通気を後回しにしてしまったんです。結果として空気がこもりやすく、「これはまずい」と。2台目・3台目では、この反省を最優先で設計に反映しました。これから作る方は、ぜひ最初の一台から通気を設計に組み込んでください。

ライト設置と重量も忘れずに考える

自作ケージに設置したバスキングライトとリクガメ

意外と後回しにしがちなのが、ライトや器具の設置です。

リクガメの飼育では、紫外線ライト、バスキングライト、保温器具など、いくつかの機器を使います。これらをどこにどう取り付けるかを、作る前にイメージしておくと後が楽です。とくにクリップライトを使う場合は、挟んで固定できる場所をあらかじめ確保しておくと便利だと思います。後から「ライトを留める場所がない」と気づくと、なかなか面倒なことになります。保温器具についても、コードをどこから通すか、コンセントまで届くかといったことを先に考えておくと、配線で困りにくくなります。ライトの位置はそのまま温度勾配にも関わってくるので、広さや温かい場所の配置とあわせて決めていくとまとまりやすいです。

もうひとつ、見落とされがちなのが重量です。木製のケージは、完成すると意外なほど重くなります。作っている最中は分解した状態なので軽く感じても、組み上がると一人では動かしにくい、ということがあります。

私自身、作った場所と設置したい場所が違っていて、運ぶのに苦労した経験があります。ですので、作る前に設置場所まで運べるか、途中のドアや廊下を通るサイズかを確認しておくことをおすすめします。さらに、床材や器具を入れると重量はもっと増えます。完成後ではなく、設計の段階で搬入経路まで考えておくと安心です。大きめのケージを作るなら、できるだけ軽い材料を選んで全体を軽量化しておくか、上下や左右で分割して持ち運べるような設計にしておくのもおすすめです。分割できるようにしておくと、搬入のときだけでなく、引っ越しや大掃除のときにも扱いやすくなります。

そしてケージが形になったら、次に考えたいのが床材です。床材選びで迷ったときは、地中海リクガメの床材は何が正解?もあわせて参考にしてみてください。

これも1台目の失敗談です。広さや見た目を優先して頑丈に作った結果、完成したケージがとにかく重くなってしまいました。掃除のたびに動かすのも一苦労で、メンテナンス性という意味では完全に失敗。2台目以降は「軽さ」と「動かしやすさ」も設計条件に入れるようにしました。丈夫さは大事ですが、過剰に頑丈にすると日々の世話で自分が苦労します。バランスが大切です。

自作にかかった費用と、作って感じたこと

気になる方も多いと思うので、費用も公開します。現在使っている自作ケージの総額は、だいたい2.5万円ほどでした。市販の大型ケージを買うことを考えると、この広さでこの価格はかなり満足しています。

そして、3回作ってみて感じる「自作ならではの良さ」は2つあります。ひとつは、規格にとらわれないサイズで飼育できること。もうひとつは、木製ケージならではの暖かみのある雰囲気です。これは市販のガラスケージにはない魅力だと思います。

大変なのは、やはり設計です。サイズ・通気・ライト位置・重量を全部考えながら図面に落とし込む工程は、けっこう頭を使います。ただ、私はこの設計の工程そのものが好きなんです。だから苦というよりは楽しみ。「考えるのが好き」という人には、自作はとても向いていると思います。

ちなみに、自作ケージに移したときのリクガメの反応はというと……正直、特に変わりませんでした(笑)。環境が良くなったからといって劇的に行動が変わるわけではなく、いつも通りマイペースに過ごしています。リクガメはそういう生き物なので、「移したら喜んでくれるはず」と期待しすぎず、こちらが管理しやすい・気持ちよく世話できる環境を作る、というくらいの心持ちがちょうどいいのかなと思います。

まとめ

自作ケージで最も重要なのは、見た目の良さではないと思っています。大切なのは、リクガメが実際に利用できるスペースをどれだけ確保できるかという点です。

まず広さを優先し、その上で温度や通気、ライトの設置、そして重量や搬入のことまで考える。順番としては、こうした流れで設計を組み立てていくと、後悔の少ないケージになりやすいと感じています。

手間はかかりますが、自作ケージは自分の飼育環境に合わせて細かく最適化できるのが大きな魅力です。一度作ってみると次はこうしたいという改善点も見えてきますし、私自身もそうやって少しずつ作り方を変えてきました。これから挑戦してみたい方の参考になればうれしいです。

ケージづくりと並行して、日々の飼育で意識していることはリクガメの飼育方法|私が意識している4つのポイントにまとめています。よければこちらもどうぞ。

お迎え前に費用の全体像をつかみたい方は、リクガメの初期費用 見積もりツールもどうぞ。5つの質問で必要な用品と初期費用・維持費の目安がわかります。

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